第五話 侵入者
迷宮へと逃げ帰ったあと開は課題解決に勤しんでいた。
「森の中で火の魔法を使う奴がいるなんて頭のおかしい奴もいるもんだな。もしかしてこの世界の木は火に強かったりするのか?
話が脱線してるなとりあえずゴブリンのステータスだ」
戦闘をした初めに召喚したロングソードを持つゴブリンはレベルが上がっていた。
==================
名前:
種族: ゴブリン
Lv: 2
HP: 40/60
MP: 1/1
物攻: 22
物防: 16
魔攻: 1
魔防: 1
敏捷: 6
知力: 3
器用: 5
スキル
魔法
固有能力
称号
==================
「俺は上がっていなかったがスライムとゴブリンではレベルを上げる要素、謂わば経験値が違うのか?それとも俺とこのゴブリンでは必要経験値が違うのか?」
開は迷宮について書いてある本を開く。不思議といつも求めている情報が書かれている項目を見つけるのが早い気がする。その項目には迷宮主のレベルの上げ方が記されていた。
迷宮主はDCを消費してレベルを上げる。
「ふむ俺はDCでレベルを上げるのか。俺が直接戦う必要はないがスライムとの戦闘の件もある。ステータスを上げるか身を守る術が欲しいところだ」
レベルを上げるためには1000DC必要と出ている。開は少し逡巡した後結論を出す。
「残DCは5260DCだ。かなり少なくなったがレベルを一つあげれば防御やHPが増えるだろう」
開は1000DCを支払いレベルを一つあげた。
==================
名前: 雲情 開
種族: 迷宮主
Lv: 2
HP: 10/12
MP: 10/10
物攻: 1
物防: 1
魔攻: 1
魔防: 1
敏捷: 1
知力: 54
器用: 51
スキル
魔法
固有能力
オープンソース
称号
==================
「全然上がらないじゃないか」
開は自分のステータスに愕然としている。それもそうだHP、知力、器用は上がったがそれ以外は全く上がっていない。開が望んでいた防御力は一切上がらなかった。
「仕方ない別の方法を考えるか。まぁ一つ当たりをつけているんだがな」
立ち直りが早い開である。一つの解決策がダメなら別の手法を考えている。
「森で打たれたのは火の魔法。つまり魔法を使えれば俺の戦術は確定する。問題は俺は魔力が少ないということだ。魔力を代替する方法があればいいのだが」
開は魔法書の項目を見ていく。スキルも魔法もDCと交換で覚えられるがコストがかかりすぎるし、魔力が少ない開がとる選択肢ではない。
魔法の入門書、属性ごとの魔法の解説書が並ぶ中、終盤で開はお目当てのものを見つける。
「魔法陣か...」
魔法陣入門書
魔法陣について書かれた本。生活魔法から初級魔法まで初心者に優しい一冊である。
「この説明の書き方なら魔石を使うということが分かるな。魔法陣ならば魔力を使わないかもしれない」
早速とばかりに交換しようとするが、その時通知音とともに現れるメッセージ。そこには”侵入者あり”の文字が出ていた。
「侵入者だと!」
侵入者に視点を合わせ迷宮の様子を見る開。そこに映っていたのは二人組の男女。全身を金属の防具で包んだ男と森で火の魔法を放った赤髪の少女だ。
「初冒険者といったところか。だが早過ぎるな。あの火魔法の少女に見られていたから来るとは思っていたが町は意外に近いのかもな。まぁ今はこいつらに集中だ」
入り口からの分かれ道に彼らはダミーのルートを進む。そこで開が見たのは圧倒的な武力でゴブリンとスライムを制圧する姿だった。
「おいおい序盤で来る強さじゃないだろ。ステータスはどうなってる?」
==================
名前: ルドルフ
種族: 人
Lv: 23
HP: 316/316
MP: 87/87
物攻: 80
物防: 48
魔攻: 25
魔防: 78
敏捷: 85
知力: 38
器用: 32
スキル
剣術lv3
魔法
無属性lv1
固有能力
称号
Dランク冒険者
==================
==================
名前: フィレン
種族: 人
Lv: 9
HP: 60/60
MP: 55/55
物攻: 11
物防: 14
魔攻: 43
魔防: 27
敏捷: 18
知力: 14
器用: 22
スキル
魔法
火属性lv1
固有能力
称号
Eランク冒険者
==================
「まずいな。これは勝てない。この迷宮始まって以来の危機だ。何か方法を考えないと」
ゴブリンとスライムを総動員しても絶対に足りないであろう戦力差に開は打開策を考える。
「火魔法の少女があの男を連れてきたってところか。普通ならば調査目的だろうが、今回は俺を助けるためらしいな」
火魔法の少女がしきりに開のことを心配している様子が見える。彼女は開のことをゴブリンに連れ去られた哀れな人だと思っているのだろう。
開は視る。開が注視するのは火の魔法。開は自身が持つ唯一無二の固有能力オープンソースを使っている。魔素で構成される魔法は全てオープンソースの対象となる。ファイアボールを構成する設計図とも言えるものが開には見えている。またもゴブリンが黒炭へと変わるが開は不敵に笑った。




