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Despair Girl 〜絶望少女〜  作者: FeNiX/As
4/11

4話 人と違う幸福

「どうしたの?機嫌悪い?」


「別に。てか重い」


絶好のチャンスが絶望のトラップだったとは...気になってむやみに吸えなくなっちゃった。


「はぁ〜」


「やっぱり機嫌悪いよね?」


気になるのが、送った不幸が帰ってきたことが1番の驚きだ。なんだあれ?今まであんなこと起きたことなかったのに。帰って来た不幸は自分に災厄をもたらすし。


「はぁ〜〜」


「よく分からないけど、取り敢えず幸福を祈るね」


「それネタに聞こえない」


お祈りをするポーズをする。普通なら笑って突っ込めるけど、コウちゃんの場合本当にご利益があるから怖い。


「どうした!?元気無いな!!熱くなれよ!!!」


「おい幸福はどこ行った」


「もっと熱くなれよ!!気持ちの問題だ!!!君なら出来る!!!!ぐわっ!?」


うわぁ〜痛そう。顔から派手に転んだ。


「うぅ〜痛い...」


「えっ!?泣いてるの?」


こいつの弱々しい姿を初めて見た。なんかめっちゃ女の子っぽく泣いてるし。やばっ可愛く見えてきた。


「痛い...蒼ちゃん...」


「はいはい。転んだの?痛かったね」


「うん...痛かった...」


「我慢したね。えらいえらい」


「えへへ〜」


抱きしめて頭を撫でてる姿は仲のいい姉妹にしか見えない。人は見かけによらないなぁ。


「騒がせてしまったね。失礼するよ」


手を引っ張って連れて行く後ろ姿を見届けた。


「これは...幸福なのか?」


「じゃあ、全力で祈っちゃうよ!!ん〜〜〜!!」


全力で祈るポーズをするコウちゃんは自分の力に気付いていない。


「うわっ!幼馴染からもらった指輪無くした...」


「マジかよ。留年の可能性ありって...」


「もう、死にたい」


「コウちゃん。ストップ」


「へ?」


私の幸福は人の絶望を吸い取ること。すなわち、私の幸福度が上がるにつれて人の絶望度が上がってしまう。すると、絶望の限界を越えた先には死が訪れることを私は知っていた。


「これ以上したら教室が血に染まる」


「何言ってるの?面白いこと言うね」


これだから無自覚は怖いんだ。


「あ!指輪あった!!」


「あれ?成績は真ん中だから留年するはず無いのに。良かった〜!!!」


「この世界も案外素晴らしいかもな」


なんだこの希望に満ち溢れた教室は。なんか後光が見えるぞ。生命の喜びとエネルギーが光って見える。


「お〜い!席に着け!」


「「「先生!おはようございます!!いつもありがとうございます!!!」」」


そうか、幸せは人に移るんだ。


「お前ら...よ〜しっ!!!俺がお前らの為に全力を尽くすぞ!!!命を懸けて育てあげるぞ!!!」


「先生!健康第一ですよ!!」


「先生凄い!!」


「私たちの誇りです!!!」


「お前ら...」


いつのドラマだよ。何だよこれ?胸熱とか通り越してなんか暑苦しい。暑苦しい?あ...


「もっと熱くなれる!!!!私たちは一丸となって成長できる!!!!!」


「「「うぉおおおおおおお!!!!!」」」


「うわっ!?熱っ!!」


熱波がこっちに飛んでくる。火の粉みたいなのも飛んでくる。最悪だ。なんかよく分からない昭和のドラマみたいな感じになっちゃった。なんか光と炎が教室中を包み込んでカオスな状態になってる。


「なんか良いね。こう言うの」


「私は嫌だよ。って眩しっ!?」


天からのお迎えぐらいの光がコウちゃんから放たれている。天からお迎えが来たことないから分かんないけど。


「もうやだ。このクラス...」


「よ〜しっ!!行くぞ!!!」


「「「わーっしょいっ!!わーっしょいっ!!!」」」


謎の胴上げに巻き込まれた私は考えることをやめた。

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