3話 裏腹
続編っす
「あれ?宿題忘れちゃった...次の先生怖いのになぁ」
チャンスだ。問題はどうやって吸い取るかなんだよな。絶対に唇を体に触れないといけないから毎回逃している。だけど、今回のチャンスを見逃す訳にはいかない。可愛い女の子とチューが出来て絶望も吸いとれる。一石二鳥だけどもう1つ問題がある。それは、この子と喋ったことないんだよね。弱ったなぁ...
「ね、ねぇ」
「ん?どうしたの?」
「ちょっとこっち来て欲しいな」
「何か用なの?」
「うん」
よしっ!上手く人気のない場所に連れて行けそうだ。あとは無理やりチューして走って逃げよう。この子には悪いけど目の前のご褒美を我慢できるほど大人じゃないんだよ私。
「どうしたの?」
「ごめんね。ちょっと強引だけど我慢してね」
「え?」
これはいけるぞ!大人しい子はこういう状況になると何も出来ないはずだから、一方的な勝利が約束された!!
「え?」
一瞬の出来事だった。世界が反転したように見えた。
「痛っ!?」
「私に何するつもり?」
「いや....何も....」
「嘘は良くないよ?」
「痛い!痛いって!!」
痛がる姿を見てクスクスと笑っている。この子ヤバイ子だ!!どうしよう、抜け出せない....
「怖いの?怖がってる姿も可愛いね」
「っ!!」
背中に走る氷のような冷たさ。直感で分かる恐怖と不安。なんでこの子はこんなに嬉しそうに笑ってるんだ?いや、分かってる。この子は正真正銘のド☆Sだ。
「なに?私とチューしたかったんでしょ?良いよ。してあげる」
「ま、待って....」
なんとかしないと....あ!不幸を当ててやれば抜け出せる!!
「っ〜〜〜」
「あらあら、頑張ってるね」
「っ!?」
どれだけ当てても何も起きない。それどころが、
「きゃっ!?」
こっちに不幸が帰って来ている。どうなってるの?せっかくの絶望が台無しだ。それどころが私が絶望しそうだよ...
「アハハハハハ。可愛いよ!神無ちゃん!!」
ヤバイヤバイ!ヤバイ子に声かけてしまった。もう語彙力とかどうでも良い!ただただヤバイ!!このままじゃ何されるか分かんないよ!!!
「あ」
授業の始まりを告げるチャイムが鳴り響き、腕が自由に動くようになった。
「また今度してあげるよ。神無ちゃん」
「ひっ....」
気味の悪い笑みを向けられて恐怖で声が漏れた。
「どうなってんだ....」
全身の力が抜けて膝から崩れ落ちた。10分程動けなかった私は外見で人を判断するのをやめた。
続きます