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Despair Girl 〜絶望少女〜  作者: FeNiX/As
1/11

1話目 友達

お楽しみください。

突然ですが、私は人とは少し違った力があります。それは、“人の絶望”を吸い取ることが出来るのです。人は絶望が無くなるし、私も人の絶望が大好きなのでお互いにwin-winな関係ですよね。まぁ、だからと言って人を絶望させるのは嫌いなんですけどね。ほら、人の不幸は蜜の味って言うでしょ?絶望にも味が付いてるんですよ。人によって味は様々ですけどね。ほら、あそこにも...


「どうしたの?お姉さん」


「え?あなた誰?」


「そんな事よりも、どうしたんですか?落ち込んじゃって」


「実は...」


絶望している人間ほど心を開くのは簡単だ。今よりも悪くなるかも知れない。誰かに助けを求めたい。自分の辛さを人に知ってもらいたい。絶望している人は言い方を変えれば悩みの巣窟だから話を聞き易いのだ。このお姉さんも同じだ。彼氏が浮気をしているのを知って、その事を彼氏に質問すると暴力を振るわれてお金を取られて捨てられた。聞くに耐えないほど酷い話だ。私にとっては好物だけどね。


「お姉さん、大変だったね」


「うん...」


心に溜まった悩みを吐き出すと涙が溢れでるのは人間の習性なのかも知れない。私も人間だけど。まぁ、今のこの国は心の悩みすら話せない人が多い。“そんな事だけで?” “他の人はもっと辛い” “甘えるな”など、自分の辛さを外に出すことすら許されないこの国だからこそ絶望が増える。


「お姉さんの“絶望”を吸い取ってあげるよ」


「え?」


絶望の吸い取り方は至って簡単で、絶望している人の体に口をつけて言葉通り吸い取るのだ。絶望している人の体ならどこでも吸いとれる。まぁ、初対面で吸い取るなら変な所はやめといた方が良いって思う人が大半だけど、私は違う。


「お姉さん可愛いね」


「さっきから何を言って....んっ!?」


可愛い女の人なら唇から吸い取るに限る。何故かって?可愛いもん!私だって人間だ。可愛いものには目がない普通の女の子だ。


「....っはぁ...じゃあね、お姉さん!」


「えっ!?え!?え〜っ!!!????」


唇抑えて顔真っ赤にしてる仕草を見て思った。


「ちょろいっ.....」


このお姉さんならお持ち帰りできる!!と冗談はさて置き。まぁ、お姉さんの絶望は少し甘かったかな。味の傾向は大体分かってきた。人に左右されたり、絶望が浅かったりすると甘くなって、自分自身に絶望したり、絶望で壊れそうになってる人は旨味が強い。出汁みたいな感じ。たまにアルコールみたいなのが入ってるのが謎。絶望を吸い出した時にアルコールも一緒に出てくるとか謎の現象はあったけど、ハッキリとは理解出来ていない。だって普通の学生なんだもん。あ、自己紹介してなかった。ここからは分かりやすいように私のことをまとめてあげる。


望月(もちづき) 神無(かんな)、年齢は16歳で身長は155cmぐらいかな?長髪の黒髪が似合う赤い瞳の超絶美少女だよ!てへっ☆


こんな感じかな。普通で平凡な女子学生をしてるんだ。さてと、今日はもう夜遅いし帰ろう。絶望している人も居ないみたいだし、日本は少し平和過ぎる気がするな。まぁ、この平和な日本だからこそ呑気に人の絶望を吸ってられるんだと思う。違うな。人に絶望を見せちゃダメなんだ。この国は。


「はぁ〜...」


疲れた。この力について詳しいことは分からない。気がついたら出来てたみたいな感じだし、人に絶望を与えたり不幸に変えて与えたりすることも出来る。仲のいい友達には不幸を何回か送っている。タライが落ちてきたり、何もないところでつまずいたりする悪ふざけのレベルで。嫌いな人にはとことん送る。嫌いな先生の授業なら、pcに不幸を送ってウイルスを感染させたり、電車に不幸を送って止めたりとかね。まだまだ謎だらけだけど、楽しいからあまり気になったりしない。いつも通り、他の人と変わらない日常生活を送っているからね。






-翌朝-






「朝だ....」


眠気で開かない目をこすって無理やり目を覚ます。服を着替えて朝食とか歯を磨いたりとか顔を洗ったりとか、朝の身支度をテキパキとこなしている。自分の中では。


「いてっ」


毎朝こんな感じで身支度をしている。そして決まった時間に友達が迎えに来る。まぁなんて言うか、天使みたいな奴で、そいつは人を幸運にする何かがあるらしい。


「神無ちゃ〜ん!おっはよ〜!!」


「おはよ」


四葉(よつば) (こう)、私はコウちゃんって呼んでる。身長は私よりも少し高めの157cmで長髪の白髪が似合う金色の瞳をしている。私とは真逆のタイプだ。背中から翼でも生えて来るんじゃないかって思ってる。


「今日も神無ちゃんは可愛いね!!」


「はいはい。抱きつかないで欲しいな、暑いし」


「もうっ!照れちゃって!!」


「ちっ...」


毎朝こんな感じだ。隣にコウちゃんが居るだけなのになんか眩しい。後光が射してるみたいだ。


「コウちゃん。眩しい」


「え?なにが?」


「コウちゃん」


「え!?告白!?照れちゃうな〜」


「違えよ」


コウちゃんとは同じクラスで席がちょうど後ろだ。成績も運動神経も趣味も全部が寸分違わないくらい一緒だ。先生たちも比べるのが面倒くさいのかランキングでは同じところに名前が2つ並んでいる。


「おっはよ〜!!今日も頑張ろうね!!!努力は必ず報われるからね!!!」


「熱い」


教室に入ってすぐに声を掛けてきた熱い奴も紹介しておく。


紅野(こうの) (えん)、身長は私と同じで真っ赤なショートヘアに真っ赤な瞳をしている。正直苦手だ。こいつには人を熱くさせる何かがあるらしい。テニスが上手いはずだ。


廊下に置いてあった消火器二本をそいつに目掛けて噴射する。


「ぐわっ!?甘いぞ!!そんなんじゃ私の炎は抑えられない!!!ぐぉおおおおおお!!!!」


バケモンかこいつは。


「その辺にでやめといたら?」


止めに入った気だるそうにしているこいつの紹介もしておく。


深原(ふかはら) (そう)、身長は私よりも少し低い154cmで青いロングに青い瞳のクラスメートだ。不思議なことに熱い奴とは仲が良い。


「ごめんね。うちのアホが迷惑かけて」


「なにをするっ!?私は限界を超えなければならないのだ!!」


「はいはい」


耳を掴んで引き連られて行った。


「ひゃっ!?耳はやだっ!耳触られたらおかしくなっちゃう!」


「はいはい。そうだね」


「ひゃぅっ.....蒼ちゃん!引っ張らないで!」


朝からなに見せられてるんだよ私。

読んでくださってありがとうございました。次回のお話をお楽しみに。

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