葵と愛生と青井、ライバル宣言します。
「葵ちゃん、おはよー!」
「岬ちゃん!あれ、今日って部活あるよね?」
「うん!もうすぐ3年生の大会あるしね。忙しいんだよね」
葵と岬は笑った。
葵は作り笑いをした。
『葵ちゃん。自分の気持ちがあるなら、ちゃんと言わなきゃ伝わらないんだよ』
それは・・・葵も思っていたことだった。
岬ちゃんは堂々と、自分の気持ちを口にしている。だけど、葵は、隠してばっかりで・・・岬にそう言われるのも、分からなくはなかった。
「蒼くん、おはよっ!」
「青井さん、朝から元気だね~。俺眠いんだけど・・・」
蒼はあくびをしながら答えた。
岬ちゃん・・・本気だ。
そして愛生先輩も・・・小さい頃のことがある。
私には何もないし、自分の気持ちすら伝えてない・・・。
葵はそう思い、とある決心をした。
「ほえ?トリプルデート?」
「トリプルっていうか・・・ていうかもう、ほとんど遊びに近いんだけど。奏楽に林田くん、そして私、蒼、岬ちゃん、愛生先輩。この人たち集めて、遊園地に遊びに行きたいの!」
「えっ、何?葵、急にやる気じゃ~ん。もちろんあおぞらコンビとして手伝うよっ!!」
今、休み時間。葵は奏楽のところを訪ねていた。
奏楽はギュッと葵に抱き着く。
「でも私と林田くんがいる必要なくない?」
「だだだ、だって。不安じゃん、なんとなく・・・」
も~仕方ないなぁー、奏楽は言った。
「どうせ、葵のことだ。誘うの怖いから誘ってっていうんでしょ?」
「よくわかっていらっしゃる」
「いいよ~、じゃあ早速!まずは同学年、岬ちゃんから行こう」
奏楽の後に続いて、葵は岬の教室へと向かった。
「葵ちゃん!それからえーっと・・・高柳奏楽ちゃん、だよね!奏楽ちゃんどうしたの?」
「岬ちゃん、遊園地行かない?」
「遊園地?だれと?」
岬は顔にハテナマークを浮かべた。
「えっと、私に林田くん、葵、男子の蒼、愛生先輩。そして岬ちゃん!」
急に岬は葵に近づいた。
「分かったよ。葵ちゃん、蒼くんのことが好きで、差をつけなきゃ。もうこんなもやもやしているのは嫌だ!って思ったんだ!」
「ちょっ・・・声が大きい!!」
葵のそっちの声のほうがよっぽど大きかったが。
「いいよ!遊園地行こ行こ!」
岬は満面の笑みでそう答えて、葵は顔をひきつらせた。
(な・・・なに?岬ちゃん・・・私の心読んでるの?ねえ!)