久しぶりの再会
「あ、いたいた。葵ちゃーん」
クラスメイトに呼ばれて、葵…道川葵は振り返った。
ここは葵の高校。岬や奏楽とは別の高校なのだ。
「ん、どしたの?」
「校門の前で葵ちゃんのこと待ってる子がいて。1人は2つ結びしてて、もう1人はボブヘアーの子だったよ。多分あの制服は△△高校かな?知り合い?」
そう言われて、葵は少し考えた。
(岬と奏楽って確か△△高校だったよね。で、岬が2つ結びは分かる。でも奏楽ってポニテだよ?それとも髪切った…?)
「葵ちゃん?」
「あっ、ごめん!多分知り合いだと思う。会いに行ってくる、ありがと!」
「いってらっしゃーい」と友達に手をふられ、葵も振り返した。
「あ!!あーーーおーーーいーーー!!!!」
「わっ……あ、やっぱり2人だ!」
立っていた岬と奏楽に葵は抱きつく。
「わー!!久しぶり!!奏楽めっちゃ髪切ったね!似合う〜♡」
「葵ぃぃ!おひさ〜、えへへ、ありがと〜!」
「葵会いたかったよぉぉぉ!!」
「岬私もだよぉぉぉ!!」
しばらくキャッキャと喜んだ後、葵はふと思った。
「…あれ?で、なんでうちの高校に?」
「へ?えっと…会いたかったから?」
当然のような顔をして言う岬に葵は驚く。
「え!?それだけ!?」
「それだけだよ?会いたい衝動が抑えられなくて!」
「……ほんと岬って変わってないね、天然っていうかなんていうか…」
「なにがー?えっどういう意味??」
最後の方が聞こえなかったらしく、岬はきょとんとした。
「あ、でね!そうそう、これから蒼くんと愛生先輩にも会いに行こうと思ってて。でも愛生先輩の高校知らないんだよね…葵、知らない?」
「え……いや、知ってるも何も、今いる場――――――――」
葵が言い終わる前に、岬と奏楽の目線は葵の後ろにくぎ付けになった。
「「愛生先輩!!!!」」
「……っ、え?あ………岬ちゃん、と、奏楽、ちゃん?」
愛生先輩は2人をみて、目を丸くした。
「え………2人とも、なんで…………」
「遊びに来たんですよ〜。ね、岬」
「はい!それでこれから蒼くんにも会いに行こうと思ってて!」
ちょ、ちょ、と葵が止める。
「え?なに?」
「い、いやいや岬。愛生先輩の立場になってみ?愛生先輩は今、元カレに会いに行こうって言われてるんだよ??」
岬はしばらくした後気づき、「………ダメ?」ときいてきた。
「いや、ダメって言うか…てか奏楽も止めなさいよ!」
「あはは……気づかなかった(笑)」
「笑い事じゃなくない!?」
ですよね、と言わんばかりに葵は愛生先輩の方を向いた。
「…………いい、よ」
「いいんですか!?!?!?」
葵が仰天する。の隣で、岬がやった!と喜んだ。
「じゃあ早速!行きましょう!!蒼くんの高校!」
「い、いぇーい……?」
「あれ?奏楽ぁ、林田くんはいいの?」
「も〜、分かってるよ。ちゃんと行くから。ねっ奏楽♡」
「………岬、きらい」
「なんでぇぇぇぇぇぇ!!」
女子4人組が賑やかに歩き出した。