葵、岬の告白と失恋
「蒼!」
降りてきたとたん、葵と岬は叫んだ。
「え?」
「何二人、キスしてんのよ!ハグしてんのよ!付き合ってんのよぉー!!」
「・・・は!?見てたの!?」
蒼は顔を赤くした。
愛生先輩が隣で、同じく顔を赤くするも。
「残念ですけど、私だって蒼が好きだったんですよ?葵ちゃん、岬ちゃん。蒼は渡しませんっ!」
告白して乗りに乗っているのか、もう全て吹っ切れているのか、愛生先輩はギューッと蒼の腕に抱き着いた。
「あ・・・愛生先輩・・・ッ!!」
「え?私だって、ってどういうこと?愛生先輩」
蒼はふと気が付いていった。
「え・・・」
「・・・それは・・・」
葵と岬は顔を見合わせる。
「・・・岬と私はね。ずうっと前から、蒼のことが好きだったんだよ」
「葵」
「・・・え?何?冗談・・・じゃないねその顔・・・。待って告白!?」
蒼は気が付いて、叫んだ。
「そうだよ告白だよ!私たちだって好きだったのにさ・・・ほんっと蒼くんってどんっかん!」
「え!?これ俺が責められるの?」
「私たちの気持ちに気が付かずに、愛生先輩とばっかイチャイチャして。ほんとひどい!」
岬が泣き出すと、蒼はオロオロした。
「でも、青井さんの気持ちは知ってたよ」
「え?」
「さっき、俺と林田がトイレに行ったとき、話してたでしょ。あの話、全部聞いてた」
「・・・えぇぇぇ!!!?」
岬が声を上げる。
「それにしたって!それにしたってひどいっっ!!」
「ご、ごめんごめん、青井さん」
蒼は苦笑いした。
「俺、鈍感なんだもん。許してよ」
テへっと笑う蒼。
「~~~~~~~許さない!」
「え」
「許さない許さない許さない許さないーーーーーーー!!!もう、蒼くんなんて大っ嫌い!」
「えぇぇ」
「でも、大好き!・・・その気持ちを伝えられて、うれしかった!蒼くん、大っ嫌いだけど大好き!!」
「どっちだよ」
蒼に突っ込まれ、岬は笑った。
「・・・ねえ、葵は?」
「え?」
「葵はなんか言わなくていいの?」
突然話を振られ、「えーと・・・」と、戸惑う葵。
「蒼!私好きだよ!!でももういい!気にしないで、普通に、友達として、これからもよろしく」
葵はニコッと笑った。
「もちろん。俺、友達として、葵のこと大好きだよ!」
蒼が言う。
観覧車の下で。
2つの恋が終わり、1つの恋が結ばれたのだった。