ラウンド2・絶叫マシーン
「怖いなー!」
蒼は一人で、楽しそうにしゃべっている。
「葵?」
「・・・」
「・・・大丈夫?」
「だだ、大丈夫に、ききき、決まってる、でしょっっっ!!」
「嘘つき~、大丈夫じゃないな」
蒼に笑われて、葵は顔を真っ赤にした。
「うっるさい!・・・って・・・揺れがだいぶ大きくなってきたぁぁ・・・!」
「うわぁぁぁ!!一回転するぅぅ!!」
ぐるんっ。。
一回転して、さらにまたもう一回転。
「ぎゃああぁぁぁぁ!!!」
蒼は悲鳴を上げる。葵は本当に怖くて、声も出せなくなっていた。
「蒼ぃぃぃ」
「葵!?!?何?何が!?だ大丈夫!?」
悲鳴を上げながらこっちのことまで気にしてくれる蒼に、葵はなんだか感動してしまった。
「・・・はぁ・・・はぁ・・・」
「葵大丈夫・・・?酔っちゃったっぽいね。それに、本気で怖かったっぽい」
蒼は心配そうに葵の顔を覗き込んだ。
「うぇぇ・・・げっ・・・」
「あんなにぐるんグルん回されちゃあね。そりゃ、酔う人は酔うわな」
岬が心配しながら、ため息をついた。
「私、酔いやすいから、ビニール袋を欠かさずに持っているの。1枚、貸してあげるね」
愛生先輩はそう言って、葵に袋を手渡した。
「・・・あ、ありがとうございます・・・うぅっ・・・」
顔色が悪いことに気が付いた蒼は、うーんと頭を悩ませた。
「あ」
「え?」
「そうだ。すぐそこに、ベンチがいっぱいあるとこある!行こう」
「う・・・うん。ありがとう・・・」
そう言って移動しようとするが、葵はフラフラとよろけてしまう。
「・・・よいしょ」
蒼は葵のことを、おんぶした。
「・・・っ!?ちょっとやめ・・・うぇっ。・・・あの・・・」
「だってこうする以外ないだろ。歩けないんでしょ」
「でも、私蒼より体重、重・・・ぐぇ・・・」
「体重とか今気にしてる場合か。いいから。あとほんのちょっと!」
蒼は叫び、葵は顔を真っ赤にし・・・愛生は悲しそうに蒼を見て、青井は恨むみたいに葵を見つめた。
「・・・ごめんね。私もう元気よ!遊ぼ!」
「おーよかったよかった!」
岬がニコっと笑う。
「じゃあ次はどこへ行こうか?」
愛生先輩も笑いながら、蒼を見つめた。
「うーん。じゃあ次は、酔わないような、優しいやつにしよ。何がいい?」
「何でしょうね、酔わないやつって・・・」
「メリーゴーランドとか、おこちゃま用のジェットコースターとか。あとは、観覧車とか・・・あ!プリ撮らない?みんなで!」
岬が言って、愛生先輩の目が輝く。
「プリって、プリクラ!私撮ったことなくて、ずっと撮ってみたかったんです!」
「俺はいいよ」「私も。あおい4人組でとろ!」
「じゃあ決まり。こっちに『マジプリ』ってあるんだよ。マジプリならごってごてに盛れるわけでもないから、男子でも撮りやすいし。マジックプリクラ!」
岬の言うことは葵はわからなかったが、蒼とプリクラを撮ることはうれしかった。