#~プロローグ
~プロローグ~
赤い
周りがすべて赤
血生臭い匂いとどこまでも広がる死体の山
あの何万もいた帝国軍の兵士達が無残にも転がっている
「なんだ・・・。ここは・・・。」
剣を強く握りしめ周りを見渡す彼女の目線の先に人影が写る
誰かがいる
剣を構え、剣の矛先をその影の方へ向ける
そこにいたのは一人の少年
手には血が浸っているナイフ、全身は返り血で汚れている少年は
この状況で空も見上げていた
その先に期待も希望を抱かない瞳でこの灰色の空も見ていた
こちらの存在には気づいていないのか?
声をかけようとした瞬間少年は力なく倒れる。
すぐに駆け寄り救護兵を呼んでいる間に少年を見る
年は10~12歳くらいの子供、腕や足は折れそうなくらい細く
華奢な体格だった。
「この少年がその数万の兵士を殺ったのならば只者ではないですぞ隊長」
そう後ろから副隊長のフィリップス=ヒューマンが駆け寄ってきた
「そうですね。このような子供が本当にやったのか信じられませんが」
少し目線を落としボロボロになった少年の服の隙間から何やら模様が見える。
「隊長、これは・・・」
副隊長が少年の体にあった模様をみて驚きの顔をみてそう呟く。
「なるほど、ついに帝国の闇が姿を出しましたか・・・」
さきほど呼んだ救護班が到着し少年の手当をし始める
彼女は先ほど見たその模様が頭から離れず空を見る
あの時少年は何を思いこの穢れた空を見ていたのか
彼女はまだ理解ができなかった。