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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

RED & WHITE

作者: 湖城マコト

 今年も北国に冬がやってきた。

 辺り一面の銀世界は僕にとっては楽園のようなもの。

 元々は南国生まれの南国育ちだったけど、昔観た映画の影響で雪景色に強い憧れを抱いていた僕は、高校卒業後の進路を迷わず北国の大学へと決め、この町へとやって来た。

 早いものでもう3年。冬時の雪かきや車の運転は大変だけど、僕はこの町で過ごす冬が大好きだ。


「だけど、もう一工夫必要だ」


 路肩に停めた軽自動車から、僕は道路沿いの雪原を眺めていた。

 確かに白一色の雪原はそれ自体が芸術品でとても美しい。だけど、それだけじゃまだ物足りない。

 白は単色よりも別の色と組み合わせてこそ魅力的な色だと僕は思っている。

 白はどんな色とも相性がいいけど、一番相性が良いのはやっぱり赤だろう。

 紅白という言葉もあるし、サンタクロースの衣装だって赤と白で構成されている。

 白は赤と組み合わせてこそ、その魅力を最大限に発揮するのだ。


 だから僕は、大好きな雪原の風景をより美しく演出するために、赤い彩りを加えることにしている。 

 それは真っ白な雪原という名のキャンバスに描く冬限定のアート作品だ。


 だけど、この作業には色々と手間がかかる。

 着色はもちろんだけど、何よりも塗料を入手するのが一苦労だ。


 ――今年は何人必要になるかな。


 そんなことを考えていたら早速、塗料の方からこちらへと向かってきた。

 部活帰りの女子高生。この辺りは人通りや車通りが少なく、現場を目撃される可能性は限りなく低いだろう。塗料を確保するにはおあつらえ向きな状況だ。

 

「さてと、行きますか」


 サバイバルナイフを片手に僕は車を降りた。




「よいしょ!」


 今し方入手したばかりの塗料を雪原へと散らす。

 最初の頃は規則的に着色していたけど、無造作なのが一番美しいことに去年気づいた。

 

 僕が雪景色に憧れるようになったのは、雪山を舞台としたスプラッタ映画を観て以来のことになる。

 あの映画で見た赤と白のコントラストは忘れらない。

 最初はあの光景を再現したくて始めたけど、今となっては僕自身の感性に従った一種の創作活動になりつつある。

 人を殺すことにはそれ程興味は無いけど、大量の塗料を確保しようとするとその過程で死んでしまうのだから仕方がない。


「ああ、やっぱり血で染まった雪原は綺麗だな」


 これだ、これこそが僕の憧れた雪景色。

 自画自賛みたいで恥ずかしいけど、今季初製作の作品に僕は思わず見入っていた。




 了

 

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