全ての始め
初めて書いたので、何が何だか分からないと思いますが、生温かい目で見守ってくれると嬉しいです。
――――俺の名前は、神崎 太志18歳、国では軍人の職業かな。だが今、この世界で一番苦しんでいるだろう人物だ。正確には『死』というものに直面している。
足は折れ、右肩からの感覚は無く、首からは痛覚よりも酷い量の血が流れ出ていることに驚いている
俺は、もう・・死ぬ・・・のか?
「こいつまだ生きてやがんぞ」
「なんだ。地味にタフな野郎だ。ハッハ!こいつはすげぇや!」
ち、畜生。こいつらかよ。なんだよあのごつい武器は。俺はこんな物で殴られたのかよ。
大体、なんで俺はこんな事になっているんだ?俺が一体何をしたというのだ。このままじゃ出血多量死かショック死だってするぞ。
「――まだ殺ってないのか」
後ろから女?らしき人物の声が俺の方に寄ってきた。
この声、どっかで聞いたよう――――――
バァン!
銃声が鳴り響いた。
いきなり過ぎて何が何だかわからなかった。だが、そんな事を考える余裕もなく、
俺は死んだ。
――――――――――
「・・・・・・・」
あれ?ここどこだ?
「おい!そこどけよ!邪魔だろうが!」
「えぇ!?ああ、はい。す、すいま――――」
後ろを振り返ると、頭から足先までどう見ても二足歩行の服を着た蜥蜴がこちらを睨んでいた。
「ううわぁ!」
急の出来事に驚き、恥ずかしながら子供のような声を出してしまった。いや、子供の声を出さない方がおかしいであろう状況だ。
「んだよ。ケンカ売ってんのか?あぁ?」
「い、いえ。すいませんでした」
なななななんだここは?
周りを見渡すも、ここがどこだかわからない。むしろ混乱してしまうくらいだ。
羽の生えた者。体躯は小さく、褐色の肌をした者。普通の人に見えるが、髪の毛の色が様々だ。
建物は石造りで、頑丈ではありそうな家々。何を書いているのか、ましてや幼稚園児のいたずら書きのような文字らしきものが書かれた看板に旗。
俺はついさっき殺されなかったのか?ってあれ?体の傷は?
どこを見ても傷など見当たらない。自分の着てた服にも全く問題はない。
まるでさっきの出来事が嘘のように。
「きゃぁあああ!」
自分の出来事に困惑していたら、どこからともなく悲鳴が聞こえてきた。おそらく南西の方か。
正義感に憧れて軍隊に入隊した自分の癖がつい出てしまい、悲鳴の方へ走って行った。
「くそぉ!くそぉ!くっそぉおおお!!」
走る事5分も立たずに悲鳴の元に辿り着いた。人が集まっており、その真ん中には人が血を流して倒れているのが見えた。矢が首を穿ち、見るも無残な姿だった
「ど、どいてください!」
胸に耳を当てるも、腕を取り脈を調べるも、しだいに冷たくなる肌から手を離した。
―――死んでる。
この状態じゃぁ何も出来ない。それより、凄い殺気がする。なにかここに来たヒントみたいなものが掴めないものかと探していると、奥の建物から光がキラリと見えた。
「っ!」
とても鈍く、重い音がした。その音の方を見ると、石造りの建物が崩れ落ちていた。
あの距離で、この世界の事を考えてまず銃なのは考えにくい。それに速さもそれなりにあり、風を切るような音もした。
「となるとこの攻撃は――」
――――弓だ
ここは危ねぇ。まずは非難をさせた方がいいのか?
そう思い老けていると
「あっちの建物からなにか見えた!!」
集団の中の誰かが口にした。
その瞬間とても強く感じていた殺気が消えて体か軽くなった感じがした。
今のうちにここがどこなのか把握しないといけないな。
その集まっていた中で隣にいた者に話を聞こうと振り返ったが少しばかりの美貌さに息を飲んだ。
銀色で清楚な髪に巫女装束のような格好。腰には昔ながらの侍のような刀を持っていた。
「すまない、ここがどこだか教えてくれないか?」
どこか親近感のある者だったので、すんなりと声を掛けれた。
「外から来た人ですか?」
透き通る声で聞かれて、何を隠そう
『違う世界から飛ばされてきました!』
なんて説明だれが受ける物か。とりあえず外から来たとでも言っておこう。
「まぁ、そんなものだ。あまりこの地形やここの事に関して知らないから教えてもらえないか?」
「ここは、四つの国の勢力のうちの1つシービルと言う国よ」
全く聞いた事もない国。やはり俺は違う世界から来たのか。少しばかり期待をしてしまったが一瞬で打ち砕かれた。
「シービル・・・・か」
国の名前は分かっても、ここがどこだかわからなければ意味がない。
「あなたはどこから?クルニム?コヤグス?バルバロス?」
この場合は何を話せばいいか分からない。名前が一番カッコ良さそうなバルバロスという国でいいか。
「俺はバルバロスから来たんだ」
「私も同じです!」
しまった。この人がシービル生まれ断定の人とは考えにくい。バルバロスの話なんてされたら疑うに決まってる。話を元に戻すか。
「で、シービルというのはどういうところだ?」
「はい。ここは四つの国の中でも最高の権力と軍事力も兼ね備えた、王国です。この国には唯一王族の血を持つものがいます」
「というと、地球で言う『天皇』みたいなものか」
「てん・・のう?」
「い、いや何でもない。こっちの話だから」
ここで地球の話をしても無駄な事は分かっている。変に流すと疑われるか――
「あ、あの」
少しこちらを伺うような声で問いかけてきた。
「お名前聞いてもよろしいですか?」
「そうか自己紹介がまだだったな。俺の名前は神崎太志、太志でいいよ。ま、今のところ無職ってとこかな。んで、あんたはなんて名前だ」
「そう・・ですね・・。コノエとでもお呼びください」
コノエ・・。なんだか日本人の苗字みたいだな。
「太志は今日行くところとかあるのですか?」
マズイ。異世界に飛ばされた事は理解出来たが、辿り着いたこの地では『無職』と『ホームレス』という肩書が一気にのしかかった。
この場でいきなり、『ついさっき死んでここに来ました!』なんて信じようもないだろう。なにせ、この世界に来た時から体にあったはずの傷は見当たらない。ただの家出にも見えるだろう。
「それならうちに来ますか?」
「え!そ、それはマズイだろ。というかコノエの両親に申し訳ない」
というより、初めて会った人を家に入れること自体おかしい事だろう。相手は年頃の女だという事もあって、そこは遠慮している。
「大丈夫です。私は一人暮らしなので、両親はバルバロスに居ます」
尚更ダメじゃねぇか!と、思うが行くあてもないので少々泊めてもらうことにした。
「そ、そうか。なら少しの間だけお世話になる」
初対面の俺をこんなにまで気楽に取ってくれるのはとても嬉しい限りだな。感謝しないと後で怒られるかな。
「え?泊まるんですか?」
「え?話の状況からしてそんな雰囲気じゃなかったけ?」
なにか自分の考えていた事と、現実とをごっちゃにしてしまい、恥ずかしいところだ。
「まぁ、特に問題はないので良いですけれど」
問題大ありだよね。相手も了承してくれたし、行ってみるか。
「す、すまんな。恩に着るよ」
かくして、俺はコノエと言う人物の家でお世話になる事になった。
――――――――
歩いて十分程度で家に着いた。やはりどの家も石造りでごつくていびつな形をしているが、生活に支障をきたすものは何も無さそうだ。
「さぁ着いたわよ。ここが私の家」
「結構でかいんだな」
一人暮らしと言うので、アパートの一部屋を想像していたのだがその予想は見事に外れていた。
「豪華な二階建てな事だな。あと二人くらい居てもおかしくはないぞ」
ま、これ位広い方が自分にも相手にとっても十分距離をとれる。
「ん?なんだか少し暗くなってないか?」
「そうですね。もうこんな時間ですもの」
ほほう。地球と同じように朝昼夜というのはあるのか。
「んじゃ、もう寝るってことだよな」
「それ以外にやる事もないですし」
こうして、コノエの豪華な家に寝泊まりさせてもらう事になった。
――――――――
「か・・たい・・・・し・・」
深夜だろうか、どこからか声が聞こえてきた。
「た・・か・・・・たいし!」
呼ばれているのか?返事をしようも、金縛りのようになっていて動けなく、声も出せない。
「神崎 太志!」
完全に聞き取れたのが分かったのか、なにやら説明が始まった。
「一人いなくなったが、もうそのような人選をしている場合ではなくなった。二十人のはずだったが、弓の者に穿たれ、十九人になった。今宵、ここに来た選ばれし者たちよ。地球で命を落とした中でも優れている者に集まって貰った」
何を言ってるんだ?この声は直接脳に伝わってきている感覚だ。
「これより二日後の正午、この世界に飛ばされし地球の者はサバイバルバトルを行ってもらう。ルールは簡単だ。闘って勝てば良い」
おいおいおい。何かと思えば戦い?冗談じゃねぇよ。
「このシービルの国の中での戦いだ。相手は待ったなし、完全に殺せ。最後に生き残った者にのみ地球に戻してやろう。説明は以上だ。命運を祈る」
あ・・れ・・・・なんだか・・急に・・・・眠く・・なっ・・て・・・・。
――
「うわぁ!」
朝の目覚めも気分は良いものでもない。なにせあんなことがあったのだから。
「起きましたか」
扉を開けて朝ごはんを持って来てくれたであろう、入ってきたのはコノエだ。昨日とは違い、まだ寝間着なのだろう。
「昨日の巫女みたいな格好はどうしたんだ」
「ミコ?なんですかそれ」
また地球のことを口ずさんでしまった。これも慣れが必要かな。
「いや、何でもないんだ。それより今何時だ」
「今は朝の九時くらいですよ」
時間軸は地球と同じで良かった。時差ボケなんかしてたまるかって話だ。
「なぁ、コノエ。少し話をしてもいいか」
「良いよ。聞いてあげる」
昨日の事を言って、信じてもらえなくていいから、ただこの家に居る以上話しておかないといけないと思った俺は一連のことを話した――――
「な、なるほどー」
「お前絶対分かってないだろ」
頼りない返事が返ってきて少し呆れてしまった。
「むしろ、分かる方が凄いと思わない?」
正論を言われて言葉が詰まる。まぁいきなりこんな事言っても信じることは難しいよな。とにかくここにいては危険だということは伝えておいた。
「うーん、ちょっと変な話だけど信じてあげる!」
「え?お前信じてくれるのか?」
「うん!」
この時のコノエの返事はさっきの頼りない返事とは違って、自信満々な返事が返ってきた。
「この話、理解出来たのか?」
「ううん。全然分かんない。でもね、太志は嘘ついてるようには見えないんだ」
なにか包み込むような優しさが、俺に安心感を与えてくれた。少しばかり照れてしまった。
「そ、そうか。分かってくれるんだったらその方がこっちも都合がいいしな。はー良かったー」
今ここでこれを言って『出てけ!!』なんて言われたらこれからどうすればいいのやらと思う限りだった。
「そうと分かれば特訓よ!特訓!すぐに負けてサヨウナラなんてもう言ってはいられないわ!」
「おう!俺は、最後まで生き残って、地球に胸張って帰ってやる!」
こうして俺は意味の分からない世界に連れてこられ、意味の分からない戦いに巻きこまれて――
異世界での地球生還をかけた、サバイバルバトルが始まったのであった
友人に勧められて書いたものなので、読むのに苦しいと思いますが、
下手なところは教えていただけると嬉しいです。