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テトラ ツインズ  作者: yion
3/3

#3

「どうした?中澤」



「俺の家は名家でな。本郷言うんやけど。俺は二番目に生まれたんや」


「ああ、裕次の次って入ってるから、次男かなとは思ってたよ」


「賢いの。跡継ぎで問題が起こらんように、別の苗字を与えられて、家からは隔離される。これが次男の定めなんや」


「え?」


俺はよく理解できていなかった


「次男まで産むのが基本決まりなんや。長男が何かあって亡くなった時に困るさかい。」


「…」


「でも、寂しくはないんやで?杏奈も隼人もよお来てくれるし。」


「…」


「なあ、だまらんといてや?暗くなられるとこっちが困るねんなあ!」


「家族と…どれくらい会ってないんだ?」


「最後に会ったのは5歳の誕生日や。全く覚えてへん。やから愛情も何もない。俺はずっと知らない人の元で育ってきた。金もあって何一つ不自由ない生活を送ってきた」


「何一つ…?何一つ不自由ない?んなの嘘だろ…」


「?由貴?」


中澤は驚いていた


「家族と会えない、そんな悲しいことなんかない!」


「俺はそれでいいって思うてんや!口出しすんなや!」


「じゃあ何でこの話したんだよ!?ほんとは寂しいんだろ!?」


「はあっ?!なにいうてん…」


「帰ってきたときに電気が付けっ放しだった!わざとだろあれ」


「!!」


中澤は心の中で昔の自分を思い出していた



『あの家は暗くて帰りたくない。おかえりって言ってくれる人もいないから。電気はつけておこう。そしたら、何かあったかい気がするから。』



「大丈夫だからっ…俺は…中澤をちゃんと、中澤として見てるから…」


由貴は泣いていた

雨でぐしょぐしょな顔と体に涙が拍車をかける


俺も泣いていた


由貴が俺を抱きしめる


「裕次は、裕次だから」


俺は今までの張り詰めていた、何かがプチンと切れた気がした



「ずっと…ずっと…俺は必要ないって思ってて…いくら勉強していい成績とっても褒めてくれなくて…何度電話しても何度あいつらの家のインターフォン押しても!一回も会ってくれなかった!俺は…」


もう中澤には陽気に関西弁を話すいつもの面影はなかった


「必要ない人なんかいない。俺は中澤のおかげでクラスのみんなと話すことができた。矢野目や隼人をうまくまとめたり、クラスのみんなのこと気遣えるのは中澤くらいしかいない」


「…」


「もう悲しいこと言わないで…」


抱きしめる由貴の手が強くなる


柔らかい暖かい

いい匂いがする

落ち着く…


中澤はそのまま寝てしまった


「あれ…?寝ちゃった?風邪ひいちゃう!」


中澤が離してくれなかったのと、自分も泣き疲れて

由貴は目を閉じて眠りについてしまう





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