#01
「由貴はそれでいいのか?」
「うん。お母さんを悲しませたくないから。」
あの日、一つの幼い命が亡くなった日に
一つの幼い想いも亡くなってしまった。
「由貴ー?準備できたの?」
「母さん、バッチリだよ!」
と言ってニコッと微笑む
「由貴にも、見せてあげたかったわ…」
母さんが遠い目をしてため息をついた。
胸が痛かった
父さんがすぐ、フォローにはいった。
「まあまあ、せっかくの入学式なんだ。さあ、行こうじゃないか」
母さんは父さんに連れられて車に向かっていく
鏡の"俺"と目が合う
そんな、悲しそうな顔しないで。
これを俺に言っているのはどちらなのだろうか。
入学式
俺の右隣りには金髪の男が。
左隣りには黒髪をポニーテールにしてる女の子が座っていた。
二人は同じ中学校だったのか、ずっと俺の両側でケンカしている。
「なんで金髪やめてないのよっ!ばかっ!」
「うっ…うっせーな!」
後ろからも声が聞こえた
「まあまあ、間の子、えらい迷惑しとるやんなあ」
振り向くと男にしては俺よりも長めの黒髪で
黒の眼鏡をした、生徒会長風なやつが座っていた
「いえ、全然」
ニコッと笑ってみた
「だって!隼人がいけないんだからね!」
「杏奈だろ!何でもかんでもいちゃもんつけやがって!」
「堪忍なぁ。俺ら三人幼馴染なんや。第3中学からきたんや。そっちは?」
「俺は、アメリカから。」
「「「え?」」」
「日本語は、話せますよ」
「え?すごくない?名前なんて言うの?」
女の子は興味津々だった
「高苗だよ」
「下の名前はなんて言うねん?」
「…由貴。よろしく」
三人とも俺をとても気にいったみたいだ
「俺は明石隼人!よろしくな!由貴!」
「私、矢野目杏奈!」
「中澤裕次や。よろしゅう」
入学式中も居眠りする隼人を矢野目が怒ったりして、
何かと飽きなかった。
「にしてもなあ、由貴って小柄やし、女の子みたいでかわええなあ」
矢野目が過剰に反応した
「えっ!?ここでボーイズラ…」
「やめろおおあっ」
隼人はそういう系は本当に無理みたいだ。
入学式から早速目立ってしまい
クラスでもみんなとコミュニケーションがとれた。
「由貴君ってほんとかわいいけどイケメンだよね!」
「ほんとほんと!小柄だし、彼女いるのかなあ?」
何人かの女子は由貴に夢中であった。
俺の高校生活が始まる。
ありがとうございました。
短編を少しずつ載せていくので、またお時間のある時にお越しください。