ある日の帰り道
「今日のことを振り返ってみろ」
学校からの帰り、途中にある小さな公園のブランコに座り、全力でこぎながら友人がこんなことを言ってきた。
「・・・は?」
「今日一日でお前は何回笑った?何回怒った?何回喜んだ?それを思い出してほしい」
「いきなりなんだよ?」
「いいから、考えてみな」
反論しても無駄だろうから素直に従ってみた。今日一日のことを思い出す。
「・・・わからない」考えてみてもそんなこといちいち覚えているわけがない。
「お前、人生楽しんでるか?もっと楽しんで、記憶に残る毎日を送ろうじゃないか!」
そう言うと友人はブランコから飛び降り、出口へ向かっていった。
「なんだったんだよ?今の質問」
「気にしなくてもいいよ。とにかく、お前は毎日を本気で楽しめ、な?」
そういうと走るように去って行った。こちらを振りかえることなく。
翌日、友人が転校したことを担任から聞いた。