-月影-[決意]
-月影-[決意]
憂いを帯びた美しい横顔
隣にあるというのに
今にも消えてしまいそうな
泣き出しそうな横顔
『今宵は随分と大人しいな、心ここにあらず、か?』
『申し訳ありませぬ……』
俺との逢瀬は
お前にとってそんなに辛いものなのか?
……愚問だ
愛する男以外の者に抱かれるなど
辛くない筈はない
『月影様……』
『何だ?』
いっそ突き放されれば俺の想いなど迷惑だと
罵ってくれれば
……この切なさは消えるのか?
『桔梗を御指名なされたそうですが……いかがでしたか?』
俺を気遣うのかっ!
嫉妬しているのだと装い
……憚るつもりなのか?
抑えきれない怒りが
沸々と芽吹いた
『華月、こちらを向け』
『……お許しを』
『ならんっ!』
誤魔化そうとしようものなら一突きでお前を奪う
戯れにその様な事を問い
言葉遊びを楽しむつもりならば……
だが……
そんな悲しげな顔をされれば
勘違いしてしまうではないか
お前の心が俺にあるのだと
都合良く思ってしまうではないか……
『……華月』
何をどうやったって
俺はお前にはかなわない
なあ、華月……
今だけでいい
『華月、俺を見よ……』
今だけでいいから
『妬いたのか?』
なあ華月……
顔を背けたりせずに
俺を温めてはくれぬか?
『申し訳……』
『可憐な唇……そんな無粋な言葉を紡ぐ為在るのではない』
『月……影、様?』
この口付け
俺の覚悟だと思え
お前が誰を愛そうとも
俺の心は生涯……
『華月……唯、はいと答えよ。桔梗と俺の情事を描き、妬いたのであろう?』
『…………はい』
『愛いやつよ……』
一生涯お前だけを想う
迷惑だと言われようと
誰に蔑まれようと変わることはない
『愛している』
これは俺の勝手な囁き
例えその温もりを失い
お前が誰かの腕の中で安らかに眠る時が来ようとも……
変わることはない囁き




