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-月影-[恋唄]

 






-月影-[恋唄]






 

 


「月影様、今日はお誕生日でしょう?」



 そう微笑んでお前が差し出した手拭いには黒地に鮮やかな桜色と三日月。

 毎夜忙しい身でありながらこの様に手間のかかる物を、俺の為に華月が繕ってくれたのだと思うと胸が熱くなった。



「月影様っ、何を……」



「痛むか?」



 白魚の如く美しい華月の華奢な指に赤い傷が幾重にも。

 愛しくて、愛しくてそっと口付けを落とした。



「お恥ずかしゅう御座います……どうかお許しを」



 頬を朱に染め手を引こうと必死でもがくその姿を抱き寄せて、俺だけのものに出来たらどれだけ幸せだろうか?

 


 身請けを……と何度考えたであろう。

 だが俺はいつも喉元まで出掛かったその言葉を飲み砕く。



 無理矢理手に入れて何が残るというのか?

 心のない絡繰り人形など欲しくない。



 だから俺は毎夜願うのだ。

 いつかお前が想い人と添い遂げられる日が来るようにと。



 毎夜願うのだ。

……例えそれが己が心を粉々に砕く願いだとしても、願わずにはおれぬのだ。



 それ程までに、俺はお前を愛している。


 

 


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