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第二十六話 優勝インタビュー 諸葛亮と呼ばないで

「優勝ぉぉぉぉ!!!」


紙吹雪。


歓声。


照明。


ABEMAコメント欄大爆発。


『織冠高校おめでとう!』


『モルック部優勝してて草』


『関羽泣きすぎ』


『石嶺先輩かわいい』


『孔明きたぁぁ』


「だから孔明じゃないって……」


僕は呟いた。


だが。


逃げ場はなかった。



表彰台。


金色のトロフィー。


『全国高校ダイエット甲子園優勝』


意味不明な大会だった。


でも。


僕たちは本当に優勝した。


「それでは優勝校インタビューです!!」


高島政伸が叫ぶ。


スポットライト。


カメラ。


全国配信。


うわぁ。


「まずは部長さん!」


マイクが向く。


劉備部長。


少し汗ばんだ顔。


でも。


笑っていた。


「はい!」


「優勝おめでとうございます!!」


「ありがとうございます!」


拍手。


コメント欄。


『部長かわいい』


『元気系すき』


『天下統一きた』


その時。


高島政伸が聞く。


「ここまで、本当に色々あったと思います!」


「はい!」


「今どんな気持ちですか!?」


静寂。


劉備部長は、劉備小桃は少しだけ空を見た。


そして。


言った。


「今年の初め――」


会場が静まる。


「我々はダメダメな部活でした」


「……」


「運動も続かない」


「ダイエットも続かない」


「なんなら部活ですらなかった」


「それはそう」


周瑜先輩が小声で言った。


会場が少し笑う。


劉備部長は続けた。


「でも」


こちらを見る。


「彼の加入で、我々は変わりました」


ドクン。


「ただダイエットを口実に、変わったやつらが集まるダメな部活から――」


なんか悪口入ってるな。


「本気でダイエットするモルック部に!」


「結局モルック部!?」


会場爆笑。


コメント欄。


『認めたw』


『モルック部じゃん』


『長かった伏線回収』


その時。


劉備部長が僕の肩を掴んだ。


嫌な予感。


「紹介します!!」


やめろ。


「史上最高の軍師――」


やめろぉぉ。


「諸葛亮孔明です!!!」


「諸葛亮って呼ばないでぇぇぇ!!!」


会場爆発。


笑い。


拍手。


コメント欄。


『本人否定w』


『山田www』


『孔明かわいい』


『軍師泣いてる?』


泣いてない。


ちょっとだけだ。


僕はマイクを握る。


スポットライト。


観客。


全国配信。


人生で一番意味不明な状況だった。


「えっと……」


喉が渇く。


でも。


不思議と怖くなかった。


「山田です」


笑い。


「なんか気づいたらこうなってました」


また笑い。


僕は少し息を吸った。


そして。


言った。


「最初は、本当に退屈だったんです」


静かになる会場。


「学校も」


「毎日も」


「未来も」


「全部」


風。


照明。


紙吹雪。


「でも」


僕はみんなを見る。


劉備部長。


周瑜先輩。


関羽先輩。


石嶺先輩。


曹操会長。


そして。


ここまで来た全部。


「変な部活入ったら」


少し笑う。


「人生、ちょっと面白くなりました」


静寂。


一秒。


二秒。


そして。


大拍手。


歓声。


コメント欄。


『青春だなぁ』


『泣いた』


『普通にいい話』


『関羽また泣いてる』


「だからなんで関羽先輩そんな人気なんですか」


その時。


高島政伸が叫ぶ。


「素晴らしいぃぃぃ!!!」


拍手。


「これぞ青春!!!」


「青春……」


僕は少しだけ呟いた。


その言葉。


少し前の僕には、

一番遠いものだと思っていた。


でも今は。


たぶん。


ちゃんとここにあった。


その時。


劉備部長が小声で言う。


「なぁ孔明」


「だからその呼び方」


「終わったらラーメン行こうぜ」


「……いいですね」


「替え玉する?」


「それはダメです」


「ダイエット部だからな!」


「今さら!?」


会場がまた笑った。


そして。


博多の夏は、

まだ終わりそうになかった。


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善哉
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