プロローグ:夢
部屋一面に飛び散っている血。
『逃げて!』 『逃げるんだ!!』
男女がさけぶ。部屋には幸せそうに笑顔で映っている写真がいくつもあるが、どれも血が飛び散っていて見ることができない。
『早くにげてええぇぇええぇ!!!』
ドスッ
結婚して少しの男女の最後の姿
シルクハットをかぶり、全身を黒のスーツで身を包んでいる男が部屋の中を物色しはじめ、やがてお目当ての物がなかったのかため息をつき
『ありませんでしたか……。お嬢さんには手を出しませんよ。まだこんなに小さい…』
シルクハットの男がこちらに近づいてくる。黒い髪を横にわけながらマリンブルーの瞳でにらみつけ
『お嬢さん。見ましたか?人間は脆い。人生は短い!!お嬢さんは短い人生をどのようにしてすごすのでしょうねぇ!!!』
男は笑っている。口は笑っているものの目は笑っておらず、こちらをずっととらえている。不意に男は笑うのをやめ、少女の頭に血でまみれた手をのせる。
『楽しい記憶なんていりません。あるのは絶望のみ…この記憶だけでいいでしょう?』
男は少女の頭をつかみ力を入れ始める。
『まだ、お嬢さんは弱い』
男がぼやけてくる
『いつか…また……会うのでしょうね……』
声も聞こえなくなってくる
『たのし……して………ます』
聞こえなくなっていたはずの声が最後の言葉だけ少女の脳にはっきりと残す
『さようなら。過去の貴女』




