零
〔注意〕
残酷描写や、流血表現が含まれてます。とても暗い内容です。苦手な方は控えてください。
ストーリーの流れをただ書いただけの様な物です。自分用に書いたので、文章も簡単に書いてます。
※本当にガチで何でも許せる方のみ、ご覧ください。(注意しましたからね)
夕立とカラスの群れが街を温かく、淡く照らす。海の波が打ち、砂浜を濡らす。
それを背景に坂を登る。
[昔、山の斜面に町が作られた。海町。海町の一番奥の一番上、山に溶け込むような古くからある家。そこはかつて海町の町長が住んでいた。とても優しく、みんな平等に接した優しくて心の広い人だった。]
学校の帰り道にノアは歴史の本を読みながら大きな阪道を歩いている。
その坂道の両サイドに家が並び、海の方向を向いている。
各家にはコンクリートの庭のような敷地がある。ノアは海町の一番上一番奥の家に行き、静かにドアを開けた。
ガラガラ…………
ノアは家に入り、後ろから差す夕日に目を向けた。目にオレンジ色光が反射する。
明るい色と反対に、ノアは暗い顔をして目を再び逸らした。
ガシャ……
少し荒くドアを閉め、戸のガラスが音を鳴らす。
何も言わずに家に入り、リビングを覗く。
そこにはだらしなく寝ているノアの父親がいた。
畳に敷かれた布団の上で仰向けになっている。
手に持っていた酒を少し畳にこぼしていた。
家の中はゴミの詰まったゴミ袋が多く置いてあり、地面も赤いシミで汚れている。
いびきをかく父を見て、ノアは鳥肌が立った。
家の中は寒すぎる。
父親から虐待を受けているノアは父親に対して『恐怖』以外何も感じなかった。
四歳くらいから今。父の虐待も続き、ノアはもう生きている意味を探すのに必死だった。
学校や図書館で本を読むも救いは見つからなかった。
父の物として生きていくしかなかった。
自分は先祖の呪いなんだと。
コンビニで買った弁当を寝ている父の横に置き、バイトで稼いだ三千円も全部置いた。
その後、ノアは速足で仏像へ行き、膝をついた。手を合わせ、頭を隠し畳に押しつけ、拝んだ。
昔、この家に住んでいた町長はノアの先祖。
心広く、優しいと言われたその人物は影で邪魔者を呪殺した。
だからか、この家には首の取れた仏が無数も仏壇に並べて置いてある。
目の前の仏壇に置いてあるこの仏は呪殺された人の魂が集まるところであると、この家族は信じている。
呪われたあとも、首のない仏に閉じ込められ、苦しみ続けると。
その仏達の奥には救世主と呼ばれるモノがあった。救世主と言っても、それはかつての町長の骸。
仏壇に救世主の本物の骸を飾り、それを奉る。
ノアはその亡骸を救世主だと信じ、救いを求め続けている。
信じ続ければ、救世主に尽くせば、いつか救ってくれると。
ノアは拝んだあと、汚く、ゴミだらけのリビングに行き、カップ麺に湯を注いだ。
三分待つときは何も考えず、ただただ暗い目で、ほぐされるカップ麺を眺めている。
三分経ち、ノアはプラスチックのフォークでカップ麺を食べ始めた。
ズズズズズズズ……
「ふぅー……」
音を立てずに、父を起こさないように。
ノアは何も考えず、ただ麺を啜る。
食べ終わると、彼は自分のゴミ袋にカップとフォークをを詰めた。
カップ麺しか入ってないゴミ袋はもう何も入らないくらい満タンだったが、それでも無理やり押し込んだ。
風呂を沸かし、冷め切っていた父の弁当を温め、新しい酒を弁当の横に置いた。
仕事が一通り終わると、彼は家を出て山のふもとの砂浜に行った。
海町というだけあって、海は透き通り、夕焼けの空を美しく映した。
それでもノアは笑うことが出来なかった。