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アイスの提供をください。

「あぢーーーーーー」

 ボクは、仕事終わりに友達の家のマンションに寄った。

「エアコンつけておいたよ」

 夜でも外が30度にどんどん近づいてきている。実家では、電気代がどーのこーのでエアコンをつけさせてもらえないボクは、友人の家を訪れた。

 最近、友人は小説を書いていないらしい。かくいうボクも、仕事が忙しすぎて、最近あまり書いていなかったんだ。

「アイス食べたくなるね」

「そう!それなの!!」

 いきなりのボクのテンションに友人がびっくりしている。

「……………なに」

「アイスの小説書いてる推しが、新しく食べたアイスを教えてくれないの」

「物語が更新されないなら、作品を待つしかないね」

 あいかわらず、ボクの話に興味がない友人が、こちらに見向きもしないでパソコンと向き合っていたので、ズズイっと自分のスマホを近づけた。

「……………なに」

「ほら、ココよく見て」

 スマホの小説サイトの小さな文字を指差しながら言う。

「話数は増えていないから、新しい作品がないんじゃない。予約投稿にすると更新画面の時間だけはかわる仕組みなんだ。つまり、目には見えていないだけで、新しい作品は存在しているんだよ。作者がボタンさえ押してくれればねっ」

「………………そんなところを気にする人間は、この世で君だけだよ…」

 友人は、今日もボクに呆れていた。

「なんで、出来上がった作品があるのに、投稿ボタン押さないんだろ」

「そんなのは簡単だよ。お前に同じアイスを探されたくないから、商品が無くなるのを待ってるんだよ」

「そういうこと?!」

 ヒドイじゃないか。同じアイスの蓋とかコレクションし始めているのに…そんなことされたら、推しと同じもの買えないじゃないか…。

 ここ半年くらい更新されない画面を見つめながら、コンビニで新しいものが出るたびに、きっと推しはコレを選ぶだろう。という予測だけはしていて、それの答え合わせをしたくてウズウズしていたというのに。

「作者は、ボクを煽るの上手いね…」

「こちら側が先にこのアイス買うんじゃね?っていう作品書けばいいじゃん」

「いや、そんなことはしない」

「なんで?(好きアピールできるのに」

「それが見つかったらキモがられて、今ある投稿作品を消されかねない。だから、あえてコレでしょ?っていう指摘はしない。それをやるとむしろ内容を書き換えられて作者が本当に食べたアイスから遠ざかったアイス作品をあげられることになる。そうなった場合、作者の好きな味ではないアイスの知識だけを頭にいれる事になるほうがボクは嫌だ…………」

 早口で言いたいことを口にしたら、余計に友人の顔が曇っていった。

「キモがキモい事いってる自覚ある?」

「推し活してる全人類を敵に回すよ?」

 好きとさえ言わなければ推しって言っていれば、好きで居続けていいはずなんだ………。




お茶犬再ブレイクのほうが…地味に気になってます。

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