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それじゃねーのよな(何

ー今日は、大雨が降っていたー


「その走り出し多くない?」

「たしかに?」

 俺の書く物語は、よく雨が降っていた。

 こないだも地元では大雨が降っていて、夜中の間中ずっと横殴りの雨だった。

「いま、また女が寝泊まりしてるんでしょ?」

「あれ?言ったっけ?」

 離婚調停中の会社の同僚が、俺の部屋を占拠しており、実家の物置小屋みたいなところですごしていたのだが、雨の音がひどくて眠れないから夜中に起きていそうな友達の元へとやってきていた。

「あいかわらず、よくやるよね」

 それは、もう何回目の事かわかない。行き場を失った人を泊める回数を数えていたらキリがない。

「こないだもさ、住所変更させるために市役所にいったら、『他人のアナタがなんでそこまで助けてあげるんですか?』って聞かれたから…腹立ったよね…」

「一般的ではあると思うけど?」

 一般的という言葉は本当に好きじゃない。

「だってさ…困ってる人は、自分では踏み出せないから困ってるんだよ…市役所みたいに困ってるから助けてください。って言った人しか救えない人達と俺を同じにしないでほしいわけさ」

 手を差し伸べるって、そういうことだと思う。俺は、誰かさんみたいに『ありがとう』とか言われたいわけじゃない。

 可哀想なんだよ。一緒にいたくもない旦那や彼氏のために女の子達が人生を失っている時間が。

「見つかって慰謝料とか言われたら、どうするのさ…」

「それはないんじゃない?相手は別の女を飼ってるんだからさ」

 この世界に真っ白人間など存在しない。それは、創世の世から人はそうだった。

「ああ……そういえばさ、俺の公式のストーカーさんが俺をあばきに来ているようだ……」

「ん?学生さん?」

「そっちじゃないほう」

 俺は、葡萄の樹を植えたりはしない。なぜなら、食べ物を食べる習慣がないからだ。

「サマエルが俺なんだとか」

「ほう」

「ま、それは違うよって言い続けていたら、いつか正体がバレてしまうから、『違うよ』って言うのは今日だけにしようか」

 なんで、俺は人から認知されないんだろうか。誕生日も忘れられているようでは、名前なんて覚えていてもらえるわけもないか。

「人の心の中には、いったい何が記録されているんだろうね」

「センチな気分なの?」

 雨が俺にそうさせるわけではない。

「いいや、最近母が日曜劇場を見ていてね。クリスチャンが幸せそうにしているのを見ていると…いいかげん宗教な物語を書けと催促されているような気分でね」

 家にいる女も親が熱狂的なクリスチャンらしい。だから、救いたかったわけではない。

 どちらかというと、俺たち神の使いは常に見張っている。神を裏切る人間が本当に生涯、神を愛しているのかを…。それに見合った徳が積まれているから、その子供を救うわけではない。

「これは、神が示す運命…なれば、こそ」

「そのセリフ、よく言うよね」

「そう?俺が、いまだに神を信じてるとか思ってるの?」

 俺が、ニヤリと頬むと、相手もニヤリと微笑み返した。

「お前以上に神を愛している悪魔が他にいるか?」

「さー?どうだろうね。愛って底知れないよね」

 受け取り拒否された愛が、今日も空を凪いでいた。自分の愛が他人に届かない事を知っていたとしても、諦めることができるのなら、そんなに簡単なことはない。

 誰にも愛されることがないって知っていたとしても、人は人を愛することをやめることはできない。

 逆に、届くはずもないと知っているからこそ、好きな人に優しくなれる自分がそこにいるんだと思う。

また、ボクらしい作品もちゃんと書くよ。そういう気持ちにさせてくれて、ありがとうね。

新しく文藝フリマで出会った人もソッチのサイトの人だったけど、もうそのサイトに戻るつもりはないんだ。でも、君の作品は読んでるよ。楽しいから。ボクも人から慕われてみたいものだよ。ほんと、眠れなくてクヨクヨするよ。

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