8月9日に待ってるから。
初めて制作させていただきました。ご観覧ありがとうございます。
不束で見るに耐えないと思いますがどうぞよろしくお願いします。
母親に見送られ、「行ってきます」と返す。ドアを開けるといつもどうり。変わらないただの夏の朝日が私を照らす。
今日は何か変わる気がする。
「あれ、、遅いなあ。」
意外とそんな勘は当たるもので、いつも乗っているバスが遅れている。スマホの時間を見る。いつもなら車内から外を眺めている時間だった。私が乗るはずだったバスがトラックと衝突し、遅れているとのこと。仕方がないのでバスは諦めることにした。
バスが来る前提の家を出る時間なので、遅刻は確定している。1時間目に間に合うには裏道を使わないといけない。どうやら友達いわく、その道には幽霊が出るとかいう噂で通りたくないのだが「遅刻するよりは」と自分に言い聞かせて通ることにした。
裏道を抜けると、線路と並行に緑のフェンスが設置されている。このまま進めばもうすぐ学校だ。すると見えてくるのは何の変哲もない黄色と黒の踏切。私はすぐ異変に気づいた。線路の真ん中に女性が立っている。電車が来ているのにも関わらずだ。警笛が鳴り、電車が近づいてくる。私は声を出すことすらできない。
そして想像もできないような音が聞こえた。
気づくと私はなぜかバス停にいた。今数秒で起きたことの整理がつかない。まるで何百年も過ぎたように感じた。猛烈な吐き気が襲ってくる。立つ気力も無くなった。目の前で人が弾け飛んだのを見てしまったからだろう。
少しすると落ち着いてきた。とりあえず情報を整理してみる。分からないことは二つある。
まず私が「なぜバス停にいるのか」ということ。誰かに運ばれたのかと思ったのだが、それならなぜバス停に運んだのかがわからない。おもむろにスマホを開いた。するともう一つ謎が増えた。時間が戻っているということだ。信じれない事柄に何度も時間を確認するが、やはり時間は変わらない。時間が戻っている。どう考えても説明がつかない。キリがないので二つ目の謎〔だったもの〕について考える。
それはあの女性のことについてだ。なぜあんな場所で立っていたのかが見当もつかない。だが一つだけわかることがある。もし、時間が戻っているとするならもうあの子は死んでしまう時間だということだ。もう考えている暇はない急ごう。
息が切れた。さっきぶりの場所だ。するとさっきの女性が踏切の真ん中を目指して歩いてゆく。「まずい、、考えていなかった。どう話しかけよう、、?」周りを見ても誰もいない。私しかこの子を止められない。
なんてことない話題… 「犬と猫どっちが好き?」咄嗟に出た言葉がこれだった。自分でも恥ずかしい。相手は困っている。そんな中私はというと「そりゃ困惑するよな」という顔をしている。
私たちはフェンスに登って腰掛けた。最初はバランスが取りづらく痛みがあったのだが、慣れれば意外と楽だったりする。
最初は相手が一言も話さなかったので気まずかった(当たり前)が、目玉焼きには絶対ソースだし、唐揚げには絶対レモンはかけない。などという話をした。そして「何でここにいるのか」
踏み込んだ内容。でもこれは聞かないとダメだと思ったから。
だが間違いだった。何かを思い出したように君の表情が暗んでいく。
なんとか取り戻そうとしたのだがそれも束の間。空気が重い。すると初めて君から話し始める。
「もういいよ。ありがとう無理に話してくれて。」
警報灯が光る。警笛が鳴る。まるで全て決まっていたように
君はフェンスを降りた。私とは別の方向に
止めようとしても無駄だった。私より電車の方が君に近かった。
『聞き覚えのある忘れようとした音と共に戻った。』
戻った場所はさんざん困らされた場所だった。伝えたい。君との時間は楽しかったと。無理に話していたわけじゃないと。けれど君は来ない。いつまで待っても、戻ってこない。
思い返してみればそうだった。君は私の話を聞くばかりで、私は止めようと必死で、君のことを知ろうとしなかった。「死んでほしくない」それはただの私のエゴでしかなかった。
君は待ってたんだよね。明治の時の踏切のように。私が通っちゃったせいで、君は進めなかった。でも大丈夫。私はいつまでも、永久に待つから。
私たちの学校の近くには心霊スポットがある。
そこには夏の煌びやかなある日、物憂げに何かを待つように現れるという。
sans fin.
自分の能力が足りなかったせいでラストに向けて情報が入り組む結果になってしまいました。(まぁそういう終わり方もアリかななどと考えつつ) なのでここで一部説明させていただきます!
まずは自殺は止めた後が大事だという話ですね。根本的な解決をしないと前の状態と何も変わりません。まあこれはよくある話なのでこの作品ではサブテーマとさせていただきます。
私が思うメインテーマというのは「後悔」です。
よく「後悔は時間の無駄だ」なんて言いますがそうは思いません。そもそも後悔なんて受動的なものなのでしないようにするなんて無理ですよね。後悔というとネガティブに聞こえますが「反省」とするとどうでしょうか。後悔をすることによって同じことを繰り返さないように意識します。全人類が経験することなのできっと人間として必要なことなのでしょう。
ではここから説明を
作中の「永久」は言葉遊びみたいな感じでタイトルの由来になってます!
ラストシーンは最終的に「私」が「君」を待ち続ける余り「私」が「君」という存在になってしまう。というループ的な話ですね。結局「私」が怖がっていた噂の幽霊になってしまったって事です。見終わった後にもう一度読み返すとまた見方が変わってくると思います。
「明治の踏切」というのははるか昔、明治時代では今と違い車側が列車を待つのではなく、列車側が車の通行を待っていたんですね。なのでこのシーンでは「私」の話を車に例えて「君」を列車に例えているんですね。
特に『もういいよ~』からの3行がとても気に入っています。最後の「止めようとしても~」のところとか見返して自分でもよく出たなあ、と感動しました。説明するまでもないかもしれませんがこれは「私」との心のキョリを表しているんですね。
この作品は1年前ほどに書いたものなので所々急展開なこともあり飲み込みにくかったと思います。ごめんね〜。他に気になるところがあったら気軽にコメントしてくれると嬉しいです。