CH6 初戦闘なんて嘘だろぉぅ!?
さて、出撃の準備をするんですけど、これといった準備はないんですよね…
転生者にも安心安全!無人兵器で遠隔操作!命の心配はありません!
ということで、現場の監視カメラに繋いでみましょう。
うす暗い細長い通路
天井の照明パネルは片方破壊されており、その地面にガラスの破片が散りばめられていた。
通路の片側の出入り口であるハッチは完全に破られていて、大きく穴が開いている。
通路の少し先に映し出されていたのは、人の大きさにもなる、四足歩行の変な生き物だった。灰色の体に黒い触手を生やし、その眼には一切の希望を見いだせない、すべてを引きずり込む漆黒のようだった。
そして現在進行形にその触手で周囲を破壊しながら歩行していくULFを眺めていくと、
まって、これかなりピンチじゃねーか!?
あと一階層分でもう有人階に到達するじゃん。
そう、次の階層は重要度の低い施設が並んでいるが、それでもそれらを管理する人員たちがいるのだ。
避難が遅れたのではない。ULFかつその変異種の中で特に優勢なものであり、避難するもその速度は圧倒的に足りないのだ。
ターゲットはこいつか…とりあえず倒せばいいんだよな!?
もうやけくそである。そうしないと恐怖に溺れるからだ。
集中して武器を素早くチェックしていく。
`武器コード割り振り開始`
`A-03 は オンラインです`
`A-56 は オンラインです`
`A-36 は オンライン……
`B-95 は オンラインです`
`全てのシステムは正常です`
おけおけ、それじゃあ一斉掃射、はいどーん
すると、銃口があらゆる場所――通気口、壁、地面――からそっと外の景色を覗き込んだ次の瞬間。
ダダダダダッ…!!
すべての銃口は炎を噴き出して、金属の弾をULFへめがけて吐き出していく。
しかし、ULFはその驚異的な身体能力でほぼすべての銃弾をかわしてしまった。
うっわ生物やめてるよコイツ…
もともと初戦に加えて、照準するための視点は人間のころと大きく違っていたので、慣れていないのだ。建造物のあっちこっちにカメラを設置しているが、それでも人間の目ほど自由に動かすことはできず、うまく視覚となるカメラと、手となる武器との連携がうまく取れていない。
なら…!
照準をひとつに集中させず、分散させることで銃弾をよけた先に被弾するという戦法をとってみる。
しかし、その難易度は非常に高い。なにせ、狙う方向はほぼすべて違う方向だからだ。人間でいうと、左手で四角形、右手で三角形を描くようなものだ。
だが…!今の俺ならできるはずだ……!いや、できなければならない!
そう、新たな生を獲得したのはこの体があったおかげだ。モルモットにされていたが、意外と非人道な実験とかはされてないのだ。そして何よりこの人たちがいなくなったら自分はこの世界で生き残れるだろうか?
……多分無理だ。前世でも社会は厳しいものだった。なおかつ、いきなり異世界という文字通り常識、文化や物理法則までもが異なる世界に一人だけなら来たら、それはもう地獄を見る羽目になる。
でもこの体ならコイツを殺せるはずだ…!
チャキッ……
リロード
ッ……!!
ダダダッダダッ
撃つ
射撃速度を落として、少しずつULFの逃げ場所を奪っていく。痛覚もちゃんと存在していたのか、ちゃんと弾が当たらないように避けるようだ。
そしてその驚異的な身体能力でほぼすべての銃弾が躱された。
いくつかの弾は命中したが、精々掠り傷止まりで、大ダメージには至っていない。
しかし、それでも痛みを感じたのか、またはイライラがたまったのかは不明だが――
「ゴァア…!!!」
とULFはその空虚な瞳に憤怒な感情を宿し、耳鳴りがするほどであろう大きな声を吼えた。
その衝撃のせいで、いくつかの武器は不具合を訴え始める。
`A-46 の 照準システムはオフラインです`
`A-75 の 銃身に軽度な損傷が検出されました`
くそ…っていうかいくら収納用で、本番の戦いに向かない銃でも、さすがにこれはもろすぎだろ!?しかも異世界でめっちゃ技術が発展してたはずだろ?もっと丈夫にしてくれよ…
だが、計画通りと言わんばかりにあるメッセージが届いた。
`まもなく貨物『武器』が到着します`
`残り時間2分21秒`
やっと来た…!
すでに一番初めの攻撃で現状の武器では撃破は不可能だとデータで示されていた。
なので、このことを司令に報告したら、なんでも特殊な銃を支援してくれるらしい。
データベースによると、この銃は実験用に開発されたらしいとのこと。
それを輸送用パイプを通してここまで送ってくれたっていう。
ダダッ…!
銃で牽制する。
注意を引き、ULFが前へと進まないようにする。
時間稼ぎだ。
`A-24 の残弾数が 0 になりました`
`A-07 の残弾数が 0 になりました`
`A-74 の残弾数が 0 になりました`
クソッ……もっと弾薬を常備しろや…!
無理やり連射したのか、銃身は少し赤熱になっている。
`A-56 の残弾数が 0 になりました`
`A-35 の残弾数が 0 になりました`
`B-41 の残弾数が 0 になりました`
`A-54 の残弾数が 0 になりました`
`貨物が到着しました`
`A-14 の残弾数が 0 になりました`
来たっ……!
この銃は特別製で、なんとそれ自体では無線でコントロール可能。しかも自動で展開して、発砲までが一切人を介さなくてもできるときた。
全体的な形は細長く、スナイパーのように見えたが、それ以上にいろんな機械が砲身に取り付けられたおり、機関銃のようにも見えた。
ULFにばれないように、暗い隅っこで、音一つ立てないほどの静かさで、展開を終えた。
`B-96 は オンラインです`
よしっ
コア部分を照準する。
……
…………
……ここだ!!
パアアァァァンンッッッッ!!!!
轟音を立ててULFへ飛翔していく。
騒音でULFはすぐに気づくことができたが、それはもうすべてが遅れた後だ。すでに通路から外れて、周囲の壁とその上に積み重なっている200メートルほどの岩盤が回避という行動が許さない。
着弾
ドカァアン!!!
弾がULFを貫通し、その後ろの壁に激突し、爆音を立てた。
まずはよし!
まだ勝ってはいない。
高エネルギー結晶であるコアをまずは破壊した。
経験則から来たものだが、数少ないULFのわかったことがある。それはコアを破壊すれば、ULFが弱体化する、ということ。コアは貴重なエネルギーであり、普段は破壊することは望ましくないが…過去に頭さえ再生した事例がある。
せっかくのチャンスなので無駄にしたくない。確実に殺しきる…!
爆風で巻き上げた埃が晴れると、ULFは胸部に風穴を開けられながらも立っていた。
しぶとすぎる……!
3回目の掃射
不思議な力で守られたはずだった体に弾丸が突き刺さる。
`B-96 は 準備完了です`
これで最後だ!
パアアァァァンンッッッッ!!!!
前と同じような轟音を出して、ULFの中枢神経系に着弾し、完璧に破壊した。
降りかかる肉片。だらそれもすぐに分解されて、この世から去るでしょう。
ULFの身体は機能を停止し、動かぬ屍となった。
これが意味することは、
この地底都市を守りきれたということだった。
そういえば、なんでこんなへんてこな銃を作ったのだろう……データベースをのぞいてみよーと。
『銃架である三脚を自動で展開できる機能をつけよう』
『いや、遠隔でコントロールしたほうが強い』
『何言ってんだ!?遠隔通信が切れたらどうする!』
『そもそもこっちに回される予算が結構残ってるから全部付けたらどうだ?』
『『それだ!!』』
やっぱお前らかよ。うん、予想してた。
いまの実験、開発担当チームであって、
つまり、この体を設計し、つくったチームである。
戦闘シーンむずすぎだろ




