勇者の力
「遅くなりましたフレデリカ様。不意を突かれたあの時。あのパワーは我々を大きく越える力だと感じました。すぐに助っ人を呼びにこの場を離れたのですが、赤と青の勇者の説得に時間かかかってしまい。勝手に動いてしまい申し訳ございませんでした」
地に膝をつき頭を下げる。
「そんな事ないよ。おかげでみんな死なずに済んだよ。ありがと叡智さん」
「実際二人を説得したのは黄色の勇者です。お礼はニーサ様に。それでフレデリカ様。あの冥王竜についてなんですが……」
「うん。で、叡智さんには何か考えがあるんでしょ?」
この子は見た目は幼いけど知識や観察眼は超一流だ。きっと、この状況をなんとかしてくれる。この子に全部、押しつけちゃうのは良くないと思うけど、今頼れるのはこの子だけだ。
「考えというか現在まで分かった事なんですが。まず、あの冥王竜は我々より強いです。結論からいうと勝てません」
薄々はわかっていたが、そこまでハッキリと言われるとショックだ。
「そこで勝利のポイントとなるのが勇者一行の神と光の力です。どうやら魔界の者に対して、勇者の力は有利に働く様です。単純な戦闘力で見ると、勇者達の力も冥王竜に劣っています。ですが先程の不意打ちの様に決定的なダメージはあたえていませんが、かなり善戦できると予想されます。つまりは冥王竜にトドメを刺せるのは我々ではなく勇者一行という事です。ですので、作戦に関しては彼らに合わせた方が勝率は高いかと考えます」
「つまり、私達はサポートに回れって事よね」
「はい、その通りでございます」
ゾクッ
突然、禍々しいオーラの波が押し寄せてきた。
鳥肌が立つ。
力を感じる方向を見ると、私の姿をした魔界の王が勇者二人と対峙していた。
「どいつだ。余を突き飛ばした虫は。不意打ちとはいえ、どの様なトリックを使ったのだ。お前らに少し興味が湧いてきたぞ。こい。少し相手をしてやる。殺すのはトリックを暴いてからだ」
これはチャンスだ。あいつは勇者の力を舐めている。
「フレデリカさん!二人の回復終わりました!わたしも戦線に戻りますので、あとはお願いします!」
黄色の勇者は剣を抜き敵を見据えていた。
「待ってニーサちゃん!ちょっとだけ話があるの。あいつを倒す為の」
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