鍛錬
朝日で段々と空が白み始める。太陽のひかりが空気を暖めていく。今日も気持ちいい天気になりそうだ。
ビュウ!ビュウ!
遠くで何かが空を切る音が断続的に続いている。
きっと閃光さんだ。あの人は自分の鍛錬に一切の妥協はしない。どんな日でも決まったメニューをこなす。
「おはようございます。閃光さん。朝早いですね」
庭で剣の素振りをしている剣の聖騎士に声をかける。
この日頃からの準備は私も見習わないといけない。
「フレデリカ様こそお早いですね。ご報告があります。この場でもよろしいでしょうか」
「はい。大丈夫ですよ」
庭に設置してあるベンチに移動する。
腰掛けて初めてベンチが朝露で濡れている事に気づいた。
冷たいが、いまさらどうしようもない。
「アクワ王国軍の作戦日時が決まりました。一週間後に北西基地を出発予定です。数は精鋭で八百。その中の二百が魔法部隊です。このあたりに到達予定は三週間後です」
「ありがとうございます。閃光さん。とても助かります。何も起こらなければ、こちらとしては何もやる事はないのですが、強力な敵対する何かが出現した時のみ、私達が加勢にはいります。この三週間も警戒しておくけど、その間に起きた事象に関しては、私が処理しちゃいます」
「承知いたしました。私は今日の夜にはここを発ちますので」
「わかったわ。ありがと。ところで……」
黄色の勇者に負けた件を思い出した。
「閃光さん黄色の勇者の特訓手伝ってあげたでしょ?」
「はい。彼女が強くなりたいから修行をつけてくれという事でしたので」
「あの子と剣の勝負したんだけど、私あの子に完敗しちゃって」
あれ?……私、あの子に負けた事こんなに悔しいとか感じてたんだ。
「なんと!申し訳ございません」
「お詫びはいいの。だから私の事も強くしてほしい。力の強さだけじゃ勝てない相手がいることがわかったの」
「その通りでございます。戦術次第では格上の相手にも互角以上の戦いができます」
「基地に戻るのは叡智さんに送ってもらうようにするから、今日だけでいいから私の事も鍛えてほしい。以前教えてもらった事は全部できるようになったの。だから、今よりさらに強くなりたい」
その翌朝。私に修行をつけてくれ閃光さんは軍の駐屯地へと戻っていった。
閃光さんのおかげで、また一つ新しい戦い方を覚えることができた。いつかニーサちゃんに再戦を申し込もう。次こそは負けない。




