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ゴッドブレス 魔法戦車と戦少女  作者: きるきる
第二章 銀髪の冒険者
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勇者誕生 その1

「神の使い?叡智さんみたいなってこと……?」


 横にいる叡智さんを見る。

 彼女は黙って頷く。


「お、お前は大切な人……大切な人を守りたいみたいな事を言っていたが……ぐふっ……駄目だ。俺の意識がもう無理そうだ。じゃあな。いい世界を創ってくれよな……がはっ」


「フレデリカ様、息絶えたみたいです」


「そうみたいね……ねぇ……私、アイツの言っていた意味がわかっちゃった……アイツの狙いって……」


 ガッキーン


 背後で空気が震えるほどの衝撃が弾けた。

 振り返ると蒼の剣が赤い髪の少年の斬撃を受け止めていた。


「その青い剣わぁ!お前がぁ!やはりお前がぁぁ!」


「スパーク!」


「フレデリカ様!転移しますっ!」


 体が光に包まれる。


「逃がさない!」


 真上から凄まじい縦回転で青いオーラが襲いかかってくる。


 ダメだ。蒼の剣も転移もは間に合わない。


「叡智さん逃げて!」


 叡智の聖騎士を突き飛ばす。

 その反動で自分も追撃を逃れる。


「フレデリカさまぁぁ!」


 乱暴だけどゴメン!これでしか間に合わなかった。

 叡智さん、上手く地面におりてね。


「ねぇ、前からですけど、私の事甘く見過ぎじゃないですか?」


 着地と同時に声が聞こえてきた。

 反射的に地面を蹴って前に跳ぶ。


 ザシュ


「くっ!痛っ」


 背中を斬られた。

 殺気も気配もないところから刃が飛んできた。

 直撃をかわせたのは幸運だった。


「ニーサぁ!」


 金髪の少女が立っていた。

 瞳が金色に輝いている。

 そういえばスパークも瞳が紅く変化していた。

 速すぎて見えなかったけど、おそらくリンクも……


「ありがとうございます。フレデリカ様。助かりました。よくわかりませんが、ここは逃げましょう!その傷の治療もですが、金髪の少女の攻撃に蒼の剣が間に合わなかったのはマズイです」


 再び、体のまわりが光に包まれる。


「魔王フレデリカ・クラーク!」


 上から紅き少年の声が響き渡る。


「スパーク!ちょっと待って!話をしましょ」


「アンタには何度も命を助けられている。話くらいなら聞いてもいい」


 私を見る目が冷たい。あの子……こんな目もできるんだ。

 スパークだけじゃない。

 残る二人の眼光も鋭く冷たい。


「何か話すんですよね。早く話して、さっさと死んでください。僕たちの家族の仇」


「ふふふっ。あなたも、そんな引きつった表情とかできるんですね。安心しました。お話は手短にお願いします。早くお父さんと同じ痛みを味あわせてあげたい」


「ニーサ!」


 この子は微笑みながら、こんな事言う女の子じゃなかった。

 それに、お父さんと同じって……


 あぁ……もう。まんまと、あの悪魔の思惑通りになってしまった。


「フレデリカ様。転移します」


「待って。あの子たちと話がしたい。あなただけでも逃げなさい」


「フレデリカ様を置いて、そんな事できるわけないですよ」


「そうだったわね。英雄を守るのが、あなたたち聖騎士の仕事だったわね」


「違いますよ。家族だからですよ。でも、ちょっと状況が悪いので二人を連れてきます。三分だけ時間ください。お願いですから死なないでくださいね。では」


 光に包まれ、叡智の聖騎士は姿を消した。






 

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