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ゴッドブレス 魔法戦車と戦少女  作者: きるきる
第二章 銀髪の冒険者
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白くて黒い

 蒼の剣が戻ってきた。

 森の中にいた方を全部消してくれたようだ。


「あとは……」


 二匹。


「お願い!」


 ブシュ!


 一呼吸する間にマンドリルの頭に穴が空いた。


 ラスト白い奴。


「ちょっと待ちなよ」


 何?今誰か喋った?


「こっちだよ。どこを見ている」


「猿が喋った……そんなこと……」


 間違いなく目の前の白いマンドリルから声が発せられている。


「猿と会話するの初めてかい」


 何か嫌な感じがする。こいつは早くトドメを刺した方がいい。


「俺が何者か知りたくないのかい?」


 こいつは話を引き延ばそうとしている。

 駄目だ。今すぐに殺さなくちゃ。


「人間のいいところは好奇心が強い事だと聞いたのだがな。それに俺はお前の事を知っている。いや、会った事あるかもな」


 早く。心の中で意思を示せばいい。そうすれば蒼の剣が一瞬で終わらせてくれる。


「その剣が飛んでこねぇという事は話を聞く気になった様だな」


「なっ⁉︎」


 なんで蒼の剣の事を知っているの?


「お前たちが悪魔と呼んでいる奴で、やっと意思疎通が取れるのが現れたんだ。こんなチャンス最初で最後かもな」


 これは挑発だ。

 

「いいぜ。お前が話すまで、いくらでも待ってやる。別に殺したいと思ったら殺すがいい。ただ二度と俺の知っている情報は聞き出せないがな」


 これもだ。

 何か嫌な感じがする。

 早く殺さなくちゃ。


「あなた誰なの!」

 

 これ以上取り合ってはだめだ。

 殺さなくちゃ。


「やっと口をきいてくれたな。何が知りたい?俺の知っている事なら何でも教えてやる」


「だからお前は何だってきいているの⁉︎」


「俺は魔界の住人だ。この世界の歴史じゃ悪魔とかいわれているやつだ。」


「わかるように説明してよ!」


「百五十年前……お前たち人間の王が世界を支配しようとして悪魔の儀式で契約しただろう。アレは俺だ。俺は別に悪魔の王とか、そんなに偉いわけじゃない。せいぜい中の上くらいだ。

それを勝手に強大な力を持つ悪魔だと勘違いし呼び出した。

オレは魔界じゃ大したことないないが、ここでは別だ。だから俺はこの世界を支配し、俺の世界を作ろうとした。だが、神の使いが俺を魔界に追い返しやがった。しかも、その時の戦いで体は消滅させられ、精神だけの存在になっちまったんだよ」


 あの神話の出来事。現実の話だったという事……


「それで?その死に損なっているのがどうして今さら人間の世界にいるの?」


「お前だよ。お前が覚醒した時、何かのはずみで繋がったんだよ。俺のいたところが。向こうじゃ肉体を失った俺は、何の価値もない雑魚以下。だからこっちに来てやった。神の使いに復讐する為に」


「あれから何年経っていると思っているの。あなたが復讐しようとしている人は死んじゃってとっくにいないわよ」


「お前がそうだろうが。だからお前に報いを受けさせてやる。こんな存在になった俺でも、こっちの生き物の精神と体を乗っ取るくらいは出来るんだぜ」


「私の体でも乗っ取るつもりなの?笑わせないで。乗っ取る事ができるのは知能の低い獣の類いだけでしょ」


 これまで戦ってきた中で狂暴になった人間は見たことがない。


「よく知っているな。だが乗っ取る事は出来なくても、他にやりようはあるんだぜ」


「いろいろ話してくれてありがと。とりあえず、あなたを野放しにしてはいけない事はわかったわ。それじゃあね。今度は、その精神ごと消滅させてあげる」


「その前に。お前、もっと強力な力が欲しいとは思わないか?俺がお前に強力な力を与えて……ぐわっ!ゲホッ」


 白いマンドリルを蒼の剣で腹部を貫き木に貼り付けた。

 もう何もできないはずだ。


「ごめんなさい。話している途中だったけど、別に悪魔の力なんていらないから貫かせてもらったわ」


「ごぼぉ、がはぁがはぁ……正義の味方のやり方じゃないな……なら早くトドメを刺すがいい。早くしないと俺はこの肉体を捨てて、違う肉体に乗り移る……」


 何かおかしい?

 また挑発されてる?

 この何かわからない嫌な予感はまだ残っている。


「ふはぁ、トドメを刺さないなら、ありがたい。この場は逃げさせてもらうぜ。次はどの肉体にしようか。お前の親しい人間とかいいかもな」


 そんな挑発に乗ると思っているのか。人の肉体は乗っ取る事ができない事はわかっているのだから。


「ぐわっ!ぐふぅ」


 わかっているのに。頭に血がのぼってしまった。

 気づいたら枝を蹴って飛び出していた。

 魔法の剣に魔力を全力で込めて突き刺した。


「私のぉ!私の親しい人には近づけさせない!もう二度と悲しいのはゴメンなの!もう何も喋ってくれないで!その命早くとまりなさい!」


「ぐゔぁ……まぁ、そう言ってくれるな。お前は……力なんて不要とか言っていたが……遠慮するな。置いていって……やる。受け取れ……お前は相当な数の人間を殺している……なかなかの因業だ……うまく馴染むだろうよ」


 




ここまでお読みいただきありがとうございます。


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