三色の剣士
炎の中に閉じ込めたトカゲはそのまま炎で丸焼きにした。
「三人ともおつかれさま。すごいわ、さっきの技。お師匠さんに教えてもらったの?」
「いえ、アレはオレたちで考えた連携で、まだまだ改良の余地はありますよ」
「じゃあさ。さっきの連携、私に一回やってもらえるかな?でも他人に持ち技見せるの嫌よね。ごめん」
「えっ?いいですよ。別にもう他人というわけでもないですし。リンクとニーサも。なぁ?」
二人も頷く。何か心の中がチクッとする。
「じゃあ武器なしの動きだけでやりますね」
想像通り、計算されている連携だった。
空中に飛んだリンクの動きを追って構えてしまうと、他の二人を見失ってしまう。
さらに、その攻撃をガードしてしまうと同時に飛んでくる他のニ撃をまともにくらう。
私も初見だとやられてしまうかもしれない。
「ありがと。この事は誰にも漏らさないから安心して。お腹空いたわね。食事にでも行きましょう。お礼に私がご馳走するわ」
「おおっ!ありがとうございます。技を見せた甲斐がありましたよ」
「私が言うのもなんだけど、自分の技を無闇に他の人に見せない方がいいわよ。ほらっ。敵対した時に対策とかされちゃう可能性があるし」
「それは大丈夫ですよ。さっきの48個のバリエーションの中の一つなんで。同じ人に同じ連携は使いませんよ」
何この子達。天才じゃない。私勝てない気がしてきた
……
この日を境に、一緒に依頼をこなす機会が多くなった。
三人とも十八歳みたいで年下だけど、学ぶ事は多いし、何より楽しい。仲間作ってパーティーで仕事するってこんなに楽しいなんて初めて知った。
「でさ。最近の銀髪の女剣士の噂話の中に三人の剣士の存在が追加されていて。『赤の剣士』、『青の剣士』、『黄の剣士』って二つ名まで付いていてさぁ。これでオレらも有名人デビューなんだよ」
赤の剣士が得意そうに二人に話している。
青の剣士と黄の剣士も、満更でもないようだけど。
「盛り上がっているところ申し訳ないけど、あなた達に渡したいものがあるの」
そうそう。今日はあの子達に贈り物があるんだった。
「よいしょ。はい。剣なんだけど、魔法が付与されているみたい。使い分けできる様に適当に三本選んできたんだけど、上手く分配して」
三本の長剣をテーブルの上に並べる。
ちなみに、今いるのは三人が拠点にしている酒場兼宿屋にあるニーサちゃんの部屋だ。
「えーと……こっちから、『炎』、『氷』、『雷』みたいよ。
魔法剣で、切った時に、その斬撃に各々の魔法効果が付与されるらしいの。だから、まわりに可燃性のものが大量にある時に炎の剣で切ったり、雨が降っていて水で濡れている時に雷で切ったりすると不味い事になる可能性もあると思うから気をつけて。今使っている剣と併用して持つといいと思うの」
「わぁぁぁ!ありがとーございますー!憧れの魔法剣だぁぁ」
「ちょ、ちょっと三人いっぺんに抱き付かないでって……きゃあぁ」
生まれて初めてベッドに押し倒された。
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