ドラゴン
「リンクー!そっち行ったー!」
器用にも空中に飛び上がり、きりもみ回転しながら巨大生物の体当たりをかわす。
へぇ。あの子、機動力すごい。攪乱担当とかさせたら最強ね。
それにしても……
「何?ドラゴンって実在する生き物だったの?初めて見た」
おそらくトカゲの巨大化したものなんだろうけど、パッと見ドラゴンだ。まぁ、大きさは少し小ぶりの五メートルくらい。
四足歩行の生物は地面を這うように高速移動で襲ってくる。
全部で三匹。
「シャルルさーん!何冷静に感心してるんですかー!何とかしてください!」
ニーサは半泣きで逃げ回っている。
「そっちこそ冷静になりなさい。あなた達の持ち味は三位一体の三刀流攻撃でしょ。バラバラに動いてたら食べられちゃうわよ」
「そんな事言ったって、うわっ!早すぎて」
スパークが間一髪食べられかけた。
「しかたないなぁ。二匹は私が押さえといてあげるわよ。その間にしとめなさい」
どうしようかな。蒼の剣は使えないから……
「じゃあ、とっておきを出しちゃおうかな……よいしょ」
腰の剣を抜き上段に構える。
「シャルルさん!そんなのあるなら最初から出してくださーい!」
んっ?この金髪少女は甘ったれてるとこが見られる。あとで鍛えちゃおうかな。
「文句言っている暇があるなら、さっさと三人の息をあわせときなさい」
この剣は使用者の魔法力や気を吸って攻撃力に変えてくれるマジックウェポン。
そこで私の工夫で魔剣の様に変身させる。
心の中で火炎をイメージ……
閃光さんが使っていた火炎魔法……
「すべてを燃やし灰にせよ……邪悪なる者に爆炎を!」
ゴォォォオ!
私の剣が業火を帯びる。
「さらに!」
ここから先はイメージだ。炎の壁をイメージ。
「あっ、技の名前考えてなかった。アレって技を打ち出すトリガーになるから意外と大事よね」
「シャルルさん!ほんとに無理です!食べられます!」
あの冷静なリンクくんが泣き叫んでいる。本当にマズそうね。
距離をとっていた二匹が木を伝って三人組の方へと向かっていく。
「わかりました……よっ!」
炎をまとった剣を木にいる二匹に向かって振り下ろす。
生き物の様に炎が地面を走っていく。
トカゲ二匹が張り付いている木まで到達すると、爆散する様に火柱が立った。その高さ二十メートル。
トカゲを囲む様に炎の牢獄は完成する。
これで残るは向こうの一匹。
「さてと。お手なみ拝見しちゃおうかな」
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