研究所
無機質な壁が続いている。
おそらくここが、シャルの言っていた研究施設だ。
三階分の階段を降り、目的の部屋に向かう。
迷わずに目的地に向かう事ができているのは、もちろん叡智の聖騎士が読み取った記憶のおかげだ。
上の階の人間の命はすべて刈り取らせてもらった。
この階にいる人間も、蒼の剣が自動で処理してくれる。
目的の場所はこの通路の突き当たりだ。
目の前に頑丈そうな扉が見えてきた。
鋼鉄で作られた二枚の扉だ。
普通なら手前に開いて入るのだろうが面倒だ。どうせ鍵もかかっているだろうし。
「お願い。行って!」
蒼の剣が扉に向かって飛翔する。
一瞬の火花が散ったあと、扉は奥に向かって倒れた。
剣はそのまま部屋の中に突入。
直後、いくつかの命の散る悲鳴が聞こえた。
壊れた扉と、その向こうにあった死体を飛び越える。
「酷い……こんな事……許せない」
あの時の光景が脳裏によみがえる。
戦車で見たカプセルだ。
ただ、あの時と違う事がある。
数が……圧倒的に数が違う。
図書館の本棚の様に、部屋の奥までカプセルが続いている。
見ただけだと、いくつあるのかわからない。
そして、すべてのカプセルに人が入っていた。
「少しだけ待っててね。楽にしてあげるから」
部屋の一番奥に進むとガラス張りの部屋があった。
中には手術台が二つ並んでいる。
いろいろな器具や道具が並んでいた。
嫌な予感しかしない。
扉を破壊して中に入ると消毒液の匂いが充満している。
手術台の傍に『固形不要物』のプレートが貼られた大きなボックスがある。とてもじゃないが中身の確認などできない。
作業中でないのは、せめてもの救いだ。
部屋の隅にある作業机の上に木箱があった。
中を見ると、指輪やネックレスなどの貴金属類が大量に入っていた。これの持ち主が何処にいるのかなど想像もしたくない。
木箱をひっくり返し、自分が身に付けているバングルと同じものがないか探したが見つからなかった。
「叡智さん。ここの施設をすべて焼きたいんだけど。そういう魔法とか使えたりする?」
後ろからついてきている少女を振り返る。
「はい。火炎とか爆炎出せますが。この程度ですよ」
ドグヴァーン!
先ほどの手術台が二つ吹き飛んだ。
「きゃあ!……ちょっ……あ、あなた結構無茶するわね」
「とまぁ、この程度の威力しかでません。部屋一つ潰せないので施設全部はとても。そうですね……そうしたら剣のお兄ちゃん呼びましょう。ちょっと呼んできますので、お待ちください」
そう言い残し、少女は何処かへと転移していった




