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ゴッドブレス 魔法戦車と戦少女  作者: きるきる
第一章 魔法戦車と魔法少女
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『ありがとう』と『さようなら』

 血の雨が降り注ぐ。

 右の腕が宙を舞っていた。

 その腕の切り口がシャワーの様に血の雨を降らせていた。

 暗緑色の鋼鉄の装甲に、無数の赤い飛沫跡が出来上がっていく。

 

 グシャ


 切り飛ばされ主人を失った腕が金属の鉄板にたたきつけられた。


「ホーク……あなた……」


 ホークの剣が離れたところに落ちていた。


「あなた最初から戦う気なんてなかったでしょ。丸腰で向かってきて。最初から死ぬ気で」


 目の前に片腕を失ったホークが倒れている。


「くっ、君の事を殺せるはずないだろ。さぁトドメを早く。結構痛いんだよ、これ」


「わかっているわよ。いま楽にしてあげるから」


 蒼の剣を中段に構える。


「聖騎士!いるんだろ。頼みがある」


「はいはい。何かあたしにご用かしら」


 上空から呼びかけに答える声が聞こえてきた。


「俺なんかの頼みなんて聞く義理はないと思うんだが、フレデリカを頼む。彼女が平穏に暮らせるようにしてやってくれ。俺には出来なかった」


「あんたの頼みでなくても、あたし達三聖騎士は元々フレデリカ様を守る為に来ているんだ。そこは安心していいかと思うよ。まかせてよ」


「そうか安心したよ。じゃあな。フレデリカ。さようならだ。いろいろすまなかったな」


 苦痛に耐えながら、ゆっくりと立ち上がる。


「さよならホーク……はぁぁぁぁ!」


 中段に構えたまま、ホークに向かって体ごと突進する。


 あれ?私また泣いている。どうして。涙で視界が霞んじゃうじゃない。


 ドンッ!


 鈍い衝撃が両手に伝わってきた。

 ホークの腹部から吹き出た血液が私自身を赤く染めていく。

 

「ありがとうホーク……そして、さようなら」


 腕がなくなって、少しだけ軽くなった体を突き飛ばす。

 よろけながら後ろに下がり、剣が刺さったままの体は十メートル下へと落ちていった。


 まだ頬に残っている涙を払いのける。

 

「蒼の剣!」


 何となく出来る気がした。

 青い光の粒子が手のひらに集まってくる。

 そして、光の粒子は私の手の中で剣の形を成した。

 目を閉じる。

 心のなかで剣と対話する。

 

「あなたも私の事を守ってくれるのね。頼りにしてるわね」


 握っていた剣から手を離す。

 その蒼い剣は地面に落下せずに空中にとどまった。

 そして、私の背中に移動する。

 

「ふふっ、あなたにとって、その場所が居心地いいのね。よろしくね」



 

 

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