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ゴッドブレス 魔法戦車と戦少女  作者: きるきる
新第二章 復讐の女王
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番外編 女坂探偵事務所 根坂間薬師の奮戦記 エピローグ フレデリカ その2


 瞬間移動という名の空間転移の先はホテルの一室だった。

 世話になっている水道真琴に指定された場所だ。


 相棒である蒼の剣が取得した現在の状況は、リアルタイムでフレデリカの脳内に伝わっている。

 だから、いま起こっている状況が良くない事も理解できた。

 ここに辿り着くのに時間がかかってしまった。

 それ故の状況だ。

 すでに部屋の中は血のにおいが充満している。

 床の絨毯が血に染まっている。

 この血の持ち主は、苦悶の表情を浮かべている床に片膝をついている男だ。


 根坂間薬師。


 水道真琴から言われた最優先の保護対象。

 その根坂間薬師の横をすり抜け、奥にいる女性に襲いかかろうとする男がいる。手には大きなナイフ。

 この男の詳細は聞かされていなかったが、直感で悪者である事は理解できた。

 それと、ナイフが女性に到達する事を阻止できない距離に自らが立っている事実も認識できた。

 蒼の剣から新たな情報が流れ込んでくる。

 女性には二つの生命反応がある。

 フレデリカは理解する。

 この人のお腹には赤ちゃんがいる。

 

(助けなきゃ!)


 なんとかしなくてはいけないのに間に合わない現実を目のあたりに、フレデリカは軽いパニックに陥いる。

 フレデリカは、巨大なナイフが振り下ろされるのを、ただ見ている事しかできなかった。

 

 ドシャ


 鈍い音が空気を伝わりフレデリカの耳に入ってくる。

 飛び散る鮮血が壁や床に新たな染みをつくっていく。


「薬師さーん‼︎」


 室内に女の悲鳴が響き渡る。

 フレデリカではない。

 もう一人の保護対象。


 出縄早紀。


 根坂間薬師のクライアントだ。

 出縄早紀の悲鳴は断続的に。次第に泣き声へと変わっていく。

 この場にいるフレデリカには、その要因は容易く推測できた。

 出縄早紀は根坂間薬師に信頼と好意を持っている。ここで言う好意というのは、恋愛感情に近い感情の好意だ。

 そんな愛する人が目の前で串刺しになっている。

 大きなナイフは背中まで貫通していた。

 ギリギリだった。

 自らの体を盾にしなければ、依頼人を守れないと判断したのだろう。

 実際、それくらいの覚悟がなければ犠牲になっていたのは出縄早紀だったであろう。


「蒼の剣!」


 フレデリカの一声で相棒の剣は即座に理解し行動に移す。

 根坂間薬師に突き刺さるナイフをへし折り、そのまま魔法で氷結させる。

 その衝撃で凶悪な暴漢はバランスを崩し、後ろへとよろけた。


「このっ悪党めっ!」


 フレデリカの背面回し蹴りが喉元にめり込み、そのままの勢いで男は部屋の端まで吹き飛んでいった。




 

 

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