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ゴッドブレス 魔法戦車と戦少女  作者: きるきる
第一章 魔法戦車と魔法少女
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英雄

 目を開くと涙が流れていた。


「そんな……お父様やお母様、屋敷のみんなを殺したのがホークだった。しかも、みんなが死んだのは私のせい」


「あなた様に罪はございません英雄様」


 傷付いた私を慰めるようと思ったのか、小さな聖騎士が手を握ってきた。


「嘘よ。こんなの。こんな残酷な事あるはずない!あなたが見せたまやかしよ!」


 自分の手を握る小さな手を振り払う。


「真実でございます。英雄様」


「私の事を英雄だなんて呼ばないで!私はそんなものになんてなりたくない!」


「それではフレデリカ様。次はあなた様の記憶をお見せします。お見せすると言うよりは、封印された記憶の扉を解放させます。では、失礼します」


「なっ、何を勝手な事を……きゃあ!」


 頭の中で突っかかっていた何かが崩れていった。


「そうなんだ……私は南アクワの人間……私の故郷は南アクワなんだ。さらわれて記憶を書き換えられて利用されていた」


 何だ……この気持ち。虚しい。いや違うかな。これは怒り。


「ご気分はいかがでしょうかフレデリカ様。記憶の封印の破壊と必要な情報をお伝えしました」


 そして……


 聖騎士の手から何かが私の中に入ってくる。

 それに刺激されたカラダの中にある蒼い塊が反応しはじける。その蒼い塊の中にあったものがカラダの隅々まで染み渡っていく。


 あぁ……満たされる。気持ちいいよぉ。ドキドキして気持ちが昂って。力が溢れてジッとしていられない。


 時間が経つにつれ昂ぶりは徐々におさまっていく。

 でも消えたわけじゃない。私の奥の一番深いところにいる。いつでも『これ』は取り出せる。

 すごい静かだ。妙に落ち着いている。

 先ほどまでの混乱していた自分が信じられない。


「…………そうなんだ。みんな私と一緒なんだ。シャルや他のみんなも。さらわれて。勝手に体と記憶と改造されて燃料タンクにされて。私だけじゃない。全部わかったよ。お父様……お母様……そしてシャル……ありがとう。おかげで私らしく生きていけそう。でもその前に、私にはやらなければいけない事がある」


 天井を見据える。

 そこに強い生命エネルギーを感じる。


「こんな事まで出来ちゃうんだ。すごいわね英雄って。ねぇ聖騎士さん。私一つだけ、やる事があるんだ。ちょっといいかな」


「はい。もうフレデリカ様を縛るものは何もございません。心の赴くままに」


「うん。じゃあ、ちょっと行ってくるね」


 

 


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