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ゴッドブレス 魔法戦車と戦少女  作者: きるきる
新第二章 復讐の女王
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番外編 女坂探偵事務所 根坂間薬師の奮戦記   根坂間薬師の堕落

 

 ふぅ……やばい……


 普通に温泉を満喫してしまった。だるくて会社に行きたくない……体が動く事を拒否している。

 ターゲットである『天沼弘樹』が見つかった事で少しだけ気が抜けてしまった。まだ解決したわけではない事は、わかっているが大きな一歩ではある。

 温泉は何の成分かはわからないが、お湯が血の池の様に真っ赤だった。最初は戸惑ったがいざ入ってみると気持ちよくて長湯してしまった。そろそろ事務所に向かわないと遅刻する事になってしまう。

 受付カウンターに鍵を返しに行くと天沼弘樹とは違うスタッフに変わっていた。

 鍵を返し一階のエントランスに出ると水道真琴の用意してくれた運転手が待っていてくれた。時間もないのですぐに車に乗りこむ。

「根坂間様、到着まで三十分ありますのでどうぞおくつろぎ下さい」

 あぁ……言われなくもそのつもり……

 後部座席に乗り込み、目を閉じた瞬間深い眠りへと落ちた。

 

 時計の針は十二時ちょうどを指していた。

 他のスタッフは外出中で事務所は誰もいない。さすが現場組だ。まぁ自分も同じ現場チームなのだが……

 出勤すると事務所で待機する様に指示があったので、朝からずっとお茶を飲みながら本日の世界情勢をテレビでチェックしている。先日、大物俳優の不倫が発覚した為、賠償金が大変な事になっているそうである。朝の情報番組はその話題ばかり流れていた。

 上の階からは音が聞こえるので他の務所には人がいるのがわかる。こんな感じで時間潰しているのは自分だけだろうか。

 まぁ、朝から温泉に入ってしまい、体も心も駄目になっているので現在の状況は非常に心地いい。


「おはようございます……って薬師くんしかいないのね」


 スーパー経理ウーマン、水道真琴のご出勤だ。


「……ねぇ薬師くん。酷く堕落しているわね。私が子供の父親の勤務先を突き止める間、あなたは何をしていたの?そんな事じゃ調査チームには入れてあげられないわよ。まぁ入れてあげる気はないけど」


 テレビの前で座っている自分を見下ろし見下しながら経理のデスクにつく。パソコンを起動し目に映らない速度でキーを打ちはじめた。


「真琴さん、僕は別に堕落していませんから。ここで待機する様に指示があったのでこうしているところなんです」


 ちょっとイライラながら反論する。まぁ、この感情も水道真琴に見透かされてしまっているだろうが。


「そんなご機嫌麗しゅくない薬師くんに新しいお仕事があるわよ。しかも薬師くんの大好きなプライベートと業務を混同させたお仕事よ」


 さっきからなんなんだ。変に絡んでくる。ムカつくからスルーしてやる。


「へぇ、意外と冷静ね。少しは噛みついてくると思ったのだけど」


 この人、自分に好意を持っていると認識していたのだけれど。それなのに、なぜこんなにも当たりが強いのだろうか。普通なら相手に嫌われる言動だと思うのだが。


「それで仕事の内容というのが『ゆうき君』の件なんだけれど」


 ゆうき。忘れていた。こっちの件も全然進展していない。


「警察に相談して保護してもらおうとしたのだけれど、人手が足りないとかで、もう少しこちらで面倒をみてほしいそうよ。ウチは警察と変に癒着……じゃなく人脈的な事があるとは言え、こんな事ありえないわよね」


 警察に連絡したのか。

 そういう話は確かにでてはいたのだが、出縄早紀の件で後回しになっていた。


「で、薬師くんお仕事っていうのが、ゆうき君の面倒をみる事なの。保護してもらう前になんかあったら大変でしょ?だから二十四時間体制でついていてほしいの」


 水道真琴のキーボードを叩く音が止む。その瞬間プリンターが音を立てて何かを出力し始める。


「はいこれ。この報告書使って。いつ、どこにいたのかを報告して。私のパソコンのアドレスでお願い。夕方六時に一回だけでいいから。元のデータ薬師くんの携帯電話に送っておいたから、それ使ってちょうだい」


 プリンターから出てきた紙を渡される。


「了解しました。それで自宅で待機とかでいいんですか?」


「えっ?別にどこに行ってもいいわよ。ゆうき君が行きたいなら遊園地とかでもいいわ。ちゃんと経費で落とすから。お金の心配もいらないわよ」


 マジか。ちょっとお高いランチとかもやっちゃっていいのだろうか。


「あっ、薬師くん。いま自分もおこぼれにあずかろうとか考えたでしょう?もちろんいいわよ」


 いいのかよ。


「あ、いや、そんな無駄な事につかいませんよ」


「ほんとうに気にせず使っていいわよ。ゆうき君を危険な事に巻き込まなければ自由にして。ただ、ゆうき君に何か変わった事があったら絶対報告してね。最優先事項よ。ケガをしたり、発熱したりでも速報して。彼に何かあったら大変な事になっなってしまうから」


 まぁ、警察から預かっている様なもだ。行方がわからなくなったら、ちょっとした事件になってしまう。


「わかりました。あと……」


「早紀ちゃんでしょ?大丈夫よ。彼女はしばらくホテル暮らしよ。安心して。あの部屋って要人とかでも使うから。セキュリティーも私と一緒で完璧よ」


 パーフェクトウーマンの彼女が完璧と言うのだから本当に大丈夫なんだろう。


「ちなみに私も、しばらくは早紀ちゃんと一緒にホテル暮らしだから、夕飯くらいなら部屋に来てもいいわよ。フロントで私の名前出して」


「そうですね。出縄早紀もゆうきに会いたいでしょうし、たまに顔出しますね」


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