表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ゴッドブレス 魔法戦車と戦少女  作者: きるきる
新第二章 復讐の女王
391/436

番外編 天使フレデリカの翻弄 その2



             3


 さらに季節は変わる。


 毎日の悪魔駆除は変わらないけど、コンビで稼働するようになってから効率はよくなったし、ホークと一緒にいることによって、以前ほどの憎悪を表に出すことは減ってきた気がする。


 私はホークの()()()を知っている。

 剣技の癖や、得意な戦術。他にもいろいろ。

 だから彼とのコンビは上手く出来ていた。

 普段のコミュニケーションから戦いの連携まで。

 このままいけば、もう一度、彼とゼロから恋が始められるかもしれないと思っていた。以前とは置かれた状況が全然違うけど。

 昔みたいに、楽しい毎日が送れるようになるかもしれない。

 そうしたら、憎しみとか悲しみも捨てて、彼とこの世界で新しい生き方が出来る。そんな気がした。



「現時刻より貴女には別の件に関わってもらいます。魔物駆除はホークに任せますので安心して下さい」


 天使ガブリエルから突然の通達があった。


 別の件?

 私は魔族を狩る為に存在する。それ意外の事など考えられない。


「ガブリエル様。私は剣を振るうことしか出来ない蛮人でございます。それ意外の職など務まるはずが……」


「いえいえ。これまでは貴女がどれほど有能かを観察していたのですよ。私の予想通りでしたよ。流石は元『神の右腕』。潜在している力は我々の世界でも一級品です。貴女の魂を継ぐ子は、きっと偉大な力を持って生まれてくるでしょう。そういう強い力を持つものは神の目に止まり、高位な地位に就けるのです。意外でしょ?この神の御膝元は実力主義で成り立っているのですよ」


 天使の笑いが普段より更に、いやらしく下卑たものに見える。

 なるほど。

 この天使の目的は、『使い勝手のいい戦闘マシーン』ではなく『優良な血統』だったということなのだ。


「というわけですから。元気な子を産んでくださいね。性別は関係ありませんから。ふふっ。これで私の家系(かけい)も安泰ですね。私の跡取りが上級役に就けば父親にあたる私も鼻が高いです」


 私の心が拒否を示そうとしている。

 抑えないと。

 天使の従属システムが動作して抵抗できなくなってしまう。

 ホークの顔が脳裏に浮かぶ。


(嫌だ……嫌だ嫌だ嫌だ!)


 これから上手くいくと思っていたのに。

 ましてや()()()やつの子を……

 

(一刻も早くこの場から逃げないと……あっ……あ……)


 私の脳内に何かが侵入してくる。

 この感じは何度も体験して知っている。


(もう……手遅れ……な……にも考えられなく……)


 意識がホワイトアウトしていく。

 それと同時に、心の奥底に隠していた何かが消えていくのを感じた。







評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ