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ゴッドブレス 魔法戦車と戦少女  作者: きるきる
第一章 魔法戦車と魔法少女
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シャルル・フォスター その3

 考えすぎだ。


 神経質になりすぎている。


 そんな事があるはずない。


 最近ずっと連絡取れなかったからって。


 はははっ……どれだけマイナス思考なのだろう。


 こんなだから友達できないんだな、私。


「…………………………」


あぁ嫌だ。今右の壁に何か見えた。


 気のせいだよね。こんなところにいるはずないよね、シャル……

 

「ねぇ……いないよね?シャル……」


 嫌な感じがする方向に視線だけを……視線だけをゆっくりと移動させ……


「いぁあああああ‼︎いやぁぁ‼︎いやぁぁ‼︎」


 床に四つん這いで倒れ、再び胃の中身を吐き出す。


 シャルがいた。

 シャルル・フォスター。

 そんなところで何してるのよ。

 ずっと待っていたのに……


 私の頭を優しく撫でてくれた手。

 スタイルよくて綺麗な足。

 長くて艶々な羨ましかった黒髪。

 いつも、私の事を真っ直ぐに見てくれた目。

 それらの全てがなくなっていた。


「聖騎士!あなたなら何とかなるんでしょ⁉︎シャルを助けてよ。私何でもするからあの子を元に戻して!お願いよ……お願いだから。お願い……お願い……」


 自分より小さい女の子にすがるようにしがみつく。

 あの子が元の姿になって戻ってきてくれるなら、敵だろが子供だろうが関係ない。


「助けて……助けてよ。お願いします……」


「……ごめん。確かに今も生物的には生きているよ。でも、体の中がほとんど残っていない。外からじゃわからないけど、中身がほとんど機械の集まりになってしまっているから」


「そんな……シャル……シャル……」


「おねえさんには気の毒だけど。元には戻らない。この子の事を想うのであれば楽にしてあげる事しかない」


「………………」


「もし……終わりにしてあげるのであれば、最後にあたしを通してお話しさせてあげる事はできるよ。このシャルって子、見たり聞いたり話したりはできないけど脳は生きている。人格と意識は確かに存在している」


 もうシャルは戻らない。

 私だったら、こんな姿で生きて辱しめを受けるなんて絶対に嫌だ。

 私が……親友である私が……


「シャルと話したい……お願い……」


「わかったよ。最後のお別れしておいで」


 叡智の聖騎士はシャルの入ったカプセルに手のひらをかざす。


「準備いいよ。おねえちゃん。あたしの右肩に手を置いて。そして目を閉じて」


「うん。ほんとにありがと」


 言われた通りに目を閉じる。

 目を閉じても涙が止まらない。

 

 ヒュン!


 地面が消えた。

 そして、下に落下する感覚に襲われた。

 


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