偽物 その5
「これで、やっと二人きりになれたわね。少し話し合いましょ」
現状で最善だと思われる平和的解決案を提案する。
ガキーン!
超スピードで目の前に現れた斬撃を無造作に切り払う。
この技は……閃光。
間違いなく剣の聖騎士だった閃光さんの最強奥義のスピードと太刀筋。
「滅びろ悪魔!人間の敵!みんなの仇!」
絶え間なく斬撃が飛んでくる。
どうやら、話してくれる気は全然ないらしい。
「ちょっと!少しくらいは話せるでしょ?なぜか私たち似てるし。もしかしたら分かり合えるかもしれないでしょ?それに仇って何よ」
「黙って!悪魔と話す舌は持ち合わせていない。さっさとと滅びなさい!」
仕方がない。
あまり気はならないけど。無理矢理記憶を読み取らせてもらうしかない。
とりあえず力ずくでふん縛ろう。
信じ難いが、彼女が私そのものなのはわかった。
何処ぞの悪魔にコピーされた可能性も考えたけど、蒼の剣までをコピーするのは不可能だ。
ここまで手合わせした感想だけど、同じ技と能力を持っていて強力だけど、基本のパワーと魔力錬成が弱い気がする。
単純な力の押し合いなら、おそらく私が勝てる。
ドガーン!
何かが天井を突き破り、床に激突する。
蒼の剣だ。石床を砕きめり込んでいる。
もちろんあちらの蒼の剣だ。
「予定通り八十七秒で無力化に成功。残るは本体のみです。得体が知れません。速やかな排除を推奨します」
砂塵の中から私の相棒が現れる。
「おかえりなさい。さすがね。で?私のそっくりさんと、あなたのそっくりさんについて何かわかったかしら?」
「はい。私とフレデリカ。あの者たちの形成されている成分、遺伝子、含有されている全ての項目で98%が一致します。簡単に述べると同一人物と、同一物質です。ちなみに、魔法によるコピーや変身の類ではありません。それと2%の違いは天使かどうかの違いによるものです」
「これは……ますます確認しなくちゃいけなくなったじゃない。ねぇ蒼の剣。二人で協力してアイツを捕獲しましょ。そしたら記憶を探ぐるから。あなたなら私の弱点とかわかるだろうし」
「承知しましたフレデリカ」