いざ、魔王城へ その1
漆黒の巨大な鎌が、幾多もの魂を刈り取っていく。
彼女の大鎌は、魂を肉体から切り離し、回収した魂は自らが吸収し己の力へと変換する。
「貴方の魂頂きます!貴方のも!貴方のもぉ!」
大鎌を振るう死神の頬は上気し、恍惚とした表情は同性の私から見ても魅惑的でハートをドキドキさせる。
「デスサイズ。ここ全部任せていい?」
城に入って最初のフロアー。
やはり城内にも防衛する兵隊の配備があった。
外にいた野生の獣と違い、いま目の前にいるのは言葉でコミュニケーションがとれる知能が高い獣人だ。
人の姿から獣の姿に姿を変えることで、飛躍的に能力が上昇する。変身する動物は、かなりバラエティーに富んでいる。
ちなみに、外の獣の大群はガブリエルに任せてある。
彼の無差別攻撃は、一人の時に真価を発揮する。
なんか高笑いしながらビームみたいなのを乱射していた。
あの調子なら今頃、完全制圧完了しているはずだ。
「承知しました。このデスサイズにおまかせを。魂拘束!」
デスサイズが黒き鎌を地面に突き立てる。
鎌から流れ出た闇はフロアー全体に闇が広がっていき、そこにいるものを包み込んだ。
闇に覆われた獣は例外なく動きを止める。
以前に聞いたけど、この状態の対象は、魂のみをその場に縛り付けられる。もちろん身体に戻す事はできない。
簡単に言うと強制的に地縛霊にさせられるのだ。
「美しい!この立ち並ぶ魂の群!綺麗だわ……この光景を鑑賞できるなんて。死神の特権ってやつだわ」
この技は恐ろしいが、それよりも涙を流して歓喜しているデスサイズさんの方が遥かに強烈だ。
間違いなく、彼女には魔王になれるだけの実力と器が備わっている。
「さぁ!フレデリカ!先にお進みなさい!あなたの前に立ち塞がる者は全て、私という鎌が刈り取って差し上げます!」
これで一階部分は制圧できた。
魂を抜かれた五十ほどの獣たちは、生命の活動をしていた時と同じポーズで彫刻の様に立ち並んでいた。