新しいパーティー その5
さて。そろそろ出発の時期だ。
皆の体力も回復して傷も癒えた。
私の魔力も六割程度には回復した。
「フレデリカ様。この前はすみませんでした。フレデリカ様の血液……すごく美味しくて。夢中になって吸っちゃいました。あの……もし許して頂けるなら次回も……」
シルフちゃんが上目遣いでこちらを見つめている。
な、なんだ……この子。可愛い。
これは素でやっているのか。それとも『あざと可愛い』方なのか。
「ははは……いいけど、今度は気を失わない程度でお願いね」
「はい!ありがとうございます!」
私って可愛い女の子の言いなりになる傾向がある。
これって女子としてどうなんだ……まっ、可愛いからいいか。
ちなみに今の私は、仮面なしでシルフと会話が出来ている。彼女たち一族を襲ったのが私の偽物だと言う事を、デスサイズが説明してくれたからだ。
それがわかると、ヴァンパイアの少女はすぐに私に懐いてくれる様になった。
まぁ、私の生血が美味すぎるというのもあるのかもしれないけれど。
「それでお礼というわけではないのですが、私の一族の屋敷に一度寄っていただけないでしょうか?私の住んでいた館には魔法力回復の薬が備蓄されているんです。私たちヴァンパイアは魔力が尽きると何も出来なくなりますから。回復薬は大量にストックしてあるんです」
「ほんと?それは助かるかも。敵が何者かで、どれくらいの強敵なのかもわからないし。私も万全の体勢で臨みたいし」
「みんな死んじゃったし。屋敷には誰も残ったいないだろうし。必要なものが残っていたらフレデリカ様の好きなだけ持って行ってください。私の一族は薬学に突出して優れていたから。きっとフレデリカ様のお役に立ちます。それで『残虐の女王』を倒せれば、きっと皆も救われると思います」
「助かるわ。あとシルフちゃんの家族の埋葬もしましょう。何せ、私たちのパーティーには魔王様と元魔王。それに元大天使がいるんだから。これってお茶の子さいさいってやつね」
「えっ?『おちゃのこ』?」
「あっ、簡単に出来ちゃうって意味よ」
よく考えたら、私たちって魔界じゃ敵なしの戦闘力じゃないかしら。これで勝てなかったら、もうどうしようもないわね。