新しいパーティー その4
「さすがね。あの環境で生き残るなんて。不死身体質は伊達じゃないわよね」
「何でしょう。その生き残っていて残念的な物言いは」
「そんな事言ってないでしょ。今の状況下で、あなたが味方にいるというのは心強いわよ。ほんとに」
この堕天使ガブリエル。
基本的に不死身で死ぬことはない。
肉体が消滅したとしても、あたり前の様に再生し復活するのだ。
「とはいえ。あの結界の中では全てを封じられていました。あのまま衰弱死していたとしたら、再生が発動しなかったかもしれません。だからフレデリカ。貴女には感謝しているのですよ」
この落ちぶれ天使。
ほんとうに素直じゃない。
「昔からそうだけど、あなた素直に言葉を述べればいいと思うの。感謝しているなら普通に『ありがとう』という一言で済むのに。今回だって、私やデスサイズさんの為に頑張ってくれたんでしょ?だから私も、あなたに感謝しているのだから」
「なっ、べ、別にフレデリカの為に生きながらえたわけではないのですよ!メルセリウムにも、フレデリカの所在を探させたのも深い意味はないのだから!」
へぇー。初めて聞いた。
そうなんだ。私の事探してくれていたんだ。
「ねぇ?あなた私の事好きでしょ?」
意表を突いた質問に、天使の表情が一気に崩壊する。
しかも、こんな真っ赤な顔の天使は初めて見るかもしれない。
これは貴重だ。
「バ、ババババカな!わた、私と貴女は、絶対的に、て、敵対する関係なのだよ!だ、だからぁ!別にフレデリカの捜索させたのも、私が助かる為なのだよ!それ!私の計略通り!私は五体満足で、ここにいるではないかぁ!はははははははは‼︎」
いや。焦りすぎだよ天使。
言葉使いがメチャクチャだ。
「天使ってツンデレさんだったんだね」
「つ、つ、つ、つんでれ?な、何だそれは⁉︎」
「ううん。何でもないわよ」
意味を伝えると収拾がつかなくなりそうなので、やめておく。
「天使ぃ。私さ。あなたの罪の事……もう罪の枷から解放してもいいかなって思うの。別に許すってわけじゃないけど。私の下で働いてきてくれた期間だけでも、あなたって皆んなが良くなる様にやって来てくれたでしょ?だからさ。少なくとも私だけは……そう思うんだよね」
「フレデリカ……私は……私は……」
あの天使が泣いている?
今日は本当に貴重なものを見る事ができる。
「天使。そういう時はアレでしょ?」
「ああ、そうですね。すまなかった。ありがとう」
「はい。よくできました」
私が天使に対して笑顔で話せている。
天使の事を貴重だなんて言えないな。
「フレデリカ……もしも貴女が許してくれるのであれば……その……」
「何よ。何かしてほしいわけ?だったら早く言いなさいよ」
「い、いや。何かして欲しいとかではないのだが……その……私の事は名前で呼んでくれないだろうか?」
「あれ?いつも名前で呼んでなかったっけ?」
「断じて呼んでいない。『落ちぶれ天使』とか『天使くずれ』とかだ……」
うわっ。
酷いな私。大概にしないと。
「ごめんごめん。それじゃあ、これからもよろしくねガブリエル」
「…………ありがとうフレデリカ」