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ゴッドブレス 魔法戦車と戦少女  作者: きるきる
第一章 魔法戦車と魔法少女
35/436

勝機

「フレデリカ!起動する」


「いつでもどうぞっ!」


 コクピット内の計器やモニターに一斉に火が入る。


「敵の本隊まで距離二千」


 一番近い敵の位置をホークに伝える。


「余裕で狙える。フレデリカ撃つよ。これを見れば王子も安心して王都にもどれるよ。様子見で五十パーセントで頼む」


「了解!任せて」


 メイン兵装の魔導砲の出力調整は私の仕事だ。

 半分の威力でも旧型の最大出力くらいはある。

 体の中の魔法をイメージする。イメージはいつもと一緒だ。

 蛇口の水を少しずつ絞っていくイメージ。

 大丈夫。上手にできる。

 自分に言い聞かせる様に力を絞っていく。


「いけるよ!」


「了解。撃つ」


 ヴァーン!


 頭の上の方で収束されたエネルギーが発射された。

 光の帯が地平線に伸びて行く。

 数秒置いて着弾反応。しかし、魔力感知のモニターから敵の数の減少が確認できない。


「あいつがいる!」


 真っ先に優しく微笑む女性の顔が浮かんだ。

 忘れもしない。盾の聖騎士。


「フレデリカ!」


 その一言で理解した。


「最大出力!」


 絞っていたエネルギーを一気に解放する。


「いけー!」


 ホークが叫ぶ。


 先程よりも高密度のエネルギーが光となる。

 最大出力だと、さすがに軽い脱力感に襲われる。


 ドォォォォォ!!


 地平線で大きな炎の柱が立つ。

 レーダーを確認。

 先程あった魔力の反応が一つ残らず消えていた。

 すごい。敵兵を殲滅できたということは、あの強力な防御壁を破った事になる。

 まだ全ての手札も出していないというのに。

 これだけの戦果を上げれるなんて想像以上に凄い子だ。

 これで、あの盾の聖騎士も消滅してくれたら……


「やってくれましたね。あなた達、許しませんよ……」


 外部からの音声がスピーカーから入ってきた。

 忘れもしない、あの優しい声だ。


「すべての盾を私の防御にまわさなければ危なかった。その代償に罪のない兵士の皆様を死なせてしまいました。皆様方の無念は私が晴らしてさしあげます」


 上空を映し出しているモニターが、銀の鎧を身につけてた人影を映しだしていた。

 左手は力か入らないのか、ぶらりと垂れ下がっている。額から赤い血が流れていた。


「覚悟はよろしいですか?では参りますね」



 頭上から何か重たい何かがのしかかってきた。

 車両が地面に押しつけられる感覚がある。

 車体全体が揺すぶられ、まるで地震の様だ。


「大丈夫だ。物理障壁の出力上げる」


 車両に搭載されたバリアシステムの対物理の出力を上げる。

 大きく揺れていた車体の振動と揺れが収まっていく。

 

「そんな……信じられない。神から授かった力が。こんな事が許されるはずがない」


 あの沈着冷静だった彼女がうろたえていた。


「フレデリカ!ここで仕止める!」


「了解!」


 最大出力で止めを刺すつもりだ。

 ダメージを与えられる事は先程の砲撃で立証済みだ。

 この近距離なら。

 

「スモーク!」


 煙幕弾を発射。

 弾は聖騎士の見えない盾にはじかれる。

 だが灰色の煙が聖騎士のまわりを覆いつくした。


「ホークいけるよ!」


 魔導砲フルチャージ分のエネルギーの充填が完了した。


「了解した。発射!」


 盾の聖騎士には煙幕で目隠しした。絶対避けきれない。


 主砲から出た光は、充満していた煙ごと全てを呑み込んだ。


 

 


 

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