魔王城潜入 その1
「どう?何か反応ある?」
胸のペンダントになっている蒼の剣が、あたりの索敵を開始する。
「少々お待ちを…………スキャン完了。二年前の城内図と照合。報告します。現在城の内部の生体反応は二名。牢獄に一名。城内中心部……幹部デスサイズ様の自室に一名。合計二名の生体反応があります。牢獄の人物は反応が小さく弱っています」
現在地は魔王城……まぁ、私の元自宅なんだけど。そこの敷地内にある森の中にいる。
傍らには助けたヴァンパイアの少女。
ほっとくと『残虐女王フレデリカ』とやらに突撃しそうな勢いだったので放っておけずに連れてきた。
「あのぉ、一つ聞いていいですか?」
ヴァンパイアの少女が口を開く。
「なぜ、ずっと仮面をかぶっているんですか?」
そう。今の私は仮面を身につけて顔を隠している。
何故って?
素顔を出したら、この少女がパニックに陥るからだ。
ちなみに、この仮面は人間界から持ち込んだものだ。
白い下地に不思議な模様が刻まれている。
何かのコスプレ用らしいけど。
まさか、こんなものが役に立つとは。
「あぁ。この仮面?えっと、魔力を抑えて気配を消す隠密行動用のマジックアイテムだよ。私、魔力強めだから」
こんな感じでいいだろうか。もちろん、そんな効果はない。
「そうですよね。今、フレデリカに見つかるわけにはいかないですものね」
「それじゃあ私は城の中調べてくるから、ここに隠れていて。絶対に動いちゃダメだよ」
「はい。わかりました。頑張ってください!気をつけて」
「いい子ね。じゃあ行ってくるね」
とりあえずはデスサイズさんの部屋からかな。
(蒼の剣。デスサイズさんの部屋に跳ぶね。何かあったらサポートお願い)
そばにいる少女に気づかれない様に脳内で相棒に話しかける。
(了解ですフレデリカ)
城内の光景をイメージする。デスサイズさんの部屋には何度か遊びに行った事がある。イメージするのも容易い。
「フィールド展開……跳躍!」
視界にあった木々が消える。
そして、目の前にあった光景が一瞬で変わった。