救出作戦
「……と言うわけなんだよ。だから今回は確実にやらないといけないわけだ」
「そんな重要な事を、こんなギリギリで聞かされるとは思わなかったわよ……」
あと一時間ほどで予定のポイントに到着する。
おそらくそこが敗走中……じゃなく戦略的に後退している部隊との合流ポイント。
そこで私たちが殿を務めて部隊を逃がすのが今回やらなければいけないお仕事と言うことだ。
そして問題は部隊を率いている総大将。
それが北アクワの第一王子なのだ。
次期アクワ王の救出が今回の最重要任務。
どうりで王様直々の指令なわけだ。
「あともう一つ問題がある……」
「……これ以上まだ何かあるの?その、あなたらしくない深妙な面持ちしてるの?何?えっ、ちょっと待って。まだ言わないで。心の準備するから…………」
何これ……嫌な予感しかしないんだけど。
そもそも、なんで遠方の私たちが呼ばれたの?
救出なら近くにいる部隊を呼んだ方がいいに決まっている。
だって、ここまで来るのに五日かかってるんだよ。
ここまで来る間に王子が死んじゃうかもしれないんだよ。
あっ……いま嫌な考えが浮かんでしまったのですが。
「……嘘……嫌だぁ嫌だよぉ。ホークぅ。間に合わなかったって事じゃ駄目?帰ろうよぉ。私まだ死にたくないよぉ」
「さすがフレデリカ。察しがいい。あの三人組の誰かが敵部隊にいるらしい」
三人組っていうのは聖騎士のことだ。
「その為のスカイフィッシュ改だよ」