表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ゴッドブレス 魔法戦車と戦少女  作者: きるきる
新第一章 魔界の女王
328/436

昔の親友 その1


 優しい光が灯る部屋で目を覚ました。

 この光はランタン?

 ちょっと違うか。

 照明なのは間違いないけど、なんて優しい色の灯りなんだろう。

 そうだった。この世界は光さえも自由に作り出す事ができるのだった。

 私がいた頃から相当な時間が経っている。いろいろな物が大幅に進化していてもおかしくない。


 うす暗くはあるけれど、目が慣れてきた。

 部屋の中の様子が見えてくる。

 そんなに広くはないけど私一人の個室みたいだ。

 吊り下げられた点滴のパックから左腕に細い管が繋がっている。

 枕元にある灯りのスタンドのそばにメモが置いてあるのが見えた。


「うーん……」


 蒼の剣の自動翻訳がない為か、文字が読めなくなっていた。私にあてられたメッセージな気がするけど。

 

(蒼の剣?聞こえる?)


 いつもなら心の中の呼びかけで応えてくれるけど……

 だめだ。応答がない。

 あの子も魔力切れなのだ。

 

「んっ?これって……」


 メモの隣に丸い物体が置いてある。

 手の中に収まるくらいの()()は真ん中部分が押し込める様な構造になっている。

 おそらくボタンだ。

 押すと何かが起こる。

 まぁ、こんな所に置かれているのだ。押しても爆発したりする事はない……と思う。


 カチッ

 

 普通に押してしまった。

 疲労と寝起きで、思考能力が九十パーセントほど落ちているのだ。しかたがない。


 何も起こらない……

 しかたがない。とりあえず現状の確認をしよう。

 両手を使い上体を起こす……


「よいしょっと…………アレ?上手く起き上がれ……うわ!私の右手……」


 ガチャ


 部屋の扉が開き、一人の人影が部屋の中へと入ってくる。


「ねぇフレデリカ。右腕折れてるんだから無理しないの。何はともあれ目を覚ましてくれて安心したわよ。おはようフレデリカ」


 逆光状態でシルエットしか見えないが、おそらく巫女さんだろう。あの服には特徴がある。形だけでも判別可能だ。

 そして、目の前から聞こえてきた声は、間違いなく巫女さんのものなのだ。

 でも何だろう。この感じ。この口調。

 この懐かしい感じ……

 そうだ。昔の友人。彼女も巫女の服を身に付けていた。

 とても強くて美人で。

 神に認められ、神に仕う事を許された巫女。

 でも、彼女が存在するはずがない。彼女が生きた時代は遥か過去の世界だ。

 わかっている筈なのに。絶対にありえない事なのに。

 でも、私の口は自然と親友の名を紡ぐのだった。


「もしかして……あなた……タマヨリ……?」





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ