攻撃開始 その2
数えきれないほどの炎の玉が地上に向かって落ちていく。
私の砕いた隕石の破片だ。
あれらが地上に降り注いだら多くの人間が命を落とすだろう。
でも大丈夫。散らばった石は、あんなふうに炎に包まれて燃え尽きる。
……って蒼の剣が言っていた。
それにしても危なかった。
まさに不測の事態ってやつだ。
私の撃った一発目の魔力エネルギーは予定通り目標に命中した。
狙い通り目標の中心を撃ち抜き、超巨大な石ころは爆散した。
ただし、全体重量の半分が。
残り半分は軌道を変えて地上に向かい加速を続ける。
「申し訳ございませんマスター。予測外の事態です。魔力エネルギーは目標の中心部を捉え、全体の半分を排除しました。しかし、残り半分は依然、地上に向かい進行中です。新たな落下予測地点をイメージで送ります。跳躍後、直ちに発射体制に入ってください」
予定外の二射目。
私の魔力はもつのだろうか。
二十数分の断続的な砲撃で、魔力の半分くらいを持っていかれた。おそらく、一回目と同じ射撃は出来ないかもしれない。
少しだけの不安を抱えたまま、蒼の剣の示す座標へと跳躍する。
「えっ⁉︎何これ⁉︎」
先程まで見えていた青空が深い闇に変化した。
眼科には青い巨大な球体が広がっている。
初めての感覚に脳が混乱する。
「あ、蒼の剣!何か怖いんだけど!何なのここ⁉︎」
湧き出てきた恐怖に遠く離れた相棒の名を叫ぶ。
「落ち着いてくださいマスター。体のまわりに張っているフォースフィールドさえ解除しなければ生命活動に支障はありません。逆にフィールドを解除してしまうと、ぼぼ即死になりますので絶対に解除しないでください」
「うん。それは前もって聞いていたから大丈夫だよ」
「では、直ちに攻撃開始してください。もうあまり距離に余裕がありません」
「わかってる。もうやってるよ……発射!」
蒼の剣のガイドを感じる。
それに従って二度目のトリガーを引いた。