作戦開始時刻 その2
「落下予測地点絞り込み完了。座標出ます!経度……緯度……」
何かの数字が読み上げられるが、私の知識では理解できない。
よって私は、隣にいる友人に頼るしかない。
「凛ちゃん!」
「はい!確認します……これは……江ノ島?フレデリカさん。えっと……おぼえていますか?タコをプレスしたやつを食べたところです!」
はっきりおぼえている。楽しかったなぁ。
魔界にいる触手モンスターのミニチュアみたいな生き物を、食べ物っで聞いたときには『うぇー』ってなったけど、覚悟を決めて口に入れたらパリパリして香ばしくて美味だった。
それに、久しぶりに海を見た。
太陽はギラギラで、風はビュンビュンと強くて。鼻腔をつく海の匂いが懐かしくもあり新鮮にも感じたり。
そうだ。この任務が終わったら、もう一度みんなで遊びに行こう。今度は水道さんも一緒に。
「そうです!その塔がある場所がちょうど予測落下地点です!」
ふふふ。凛さんと巫女さんの三人で遊んだ事も、全くの無駄じゃなかったってことね。あそこは楽しい思い出でいっぱいだ。
「まかせて凛ちゃん!あそこな余裕で跳べるよ。沢山はしゃいじゃったからね」
「そうでしたね。フレデリカさん楽しそうだった」
「うん!みんなと一緒で楽しかったよ。それじゃあ行ってくるね。まだ行っていない場所とかあるし。絶対に成功させるから」
「はい!フレデリカさん。いってらっしゃい」
この女神の微笑みは幸運の御守りになる。
「さて……フィールド展開。蒼の剣、行けるよね?」
魔力フィールドを展開し、背中にいる相棒に出発の合図を送る。
それにしても……
さすが『超人水道真琴』だ。今いる地点から目標までは比較的近い。事前の予想が的中しているということだ。
おかげで瞬間移動の成功率も一気に高まる。
「はいマスター。問題ありません。こちらでも座標を固定。跳躍先は塔の頂上」
目を閉じイメージを強める。
「……行きます!跳躍!」
体の重さが消失する感覚に陥いる。
でも、そんなものは一瞬だ。
目を開くと、キラキラと輝く海が広がっている。
下に目をやると、親子や恋人、友達どうし。いろいろな人たちが楽しそうに時間を過ごしている。
こちらに気付いた小さな女の子が、こちらを見て手を振っている。
私も手を振り返す。
笑ってくれた。可愛いなぁ。
この世界を救う口実が、また一つ増えた。




