情報収集という名の…… その1
熱めのお湯が、身体から疲労を抜き取ってくれる。
これぞ心と体のデトックス。
湯気か立ち込め、視界は良くない。
湯けむりの向こうに人影が二つ見える。巫女さんと凛ちゃんだ。
私たちは隕石迎撃の為の情報収集任務で『ハコネ』という場所に来ている。ここも隕石落下の予測地点の一つだ。
ハコネの山々は火山で形成されていて、今現在も火山活動中と巫女さんが教えてくれた。
そして火山があるという事は必然的にあれが存在するはず。
そう!それは『温泉』という名のパラダイス。
私の思惑通り、ハコネには温泉が存在していた。
さらには、温泉を生業にしている人達が多く存在していて、彼らが運営している施設が彼方此方に建てられている。
今いる宿屋のお風呂も温泉だった。
しかも、ここのお湯は白く濁っていて少しヌルヌルしている。
最初見た時は汚れているのかと思ったけど、実は身体に良いようで、病を治癒したりポカポカと身体を温めてくれる効果があるみたいだ。
実際、私の体も乳白色のお湯に浸り、溜まりに溜まったストレスを洗い流してくれている。
それに、お肌がスベスベになっている気がする。
これは美容にも効果があるということだ。
そういえば、私の世界にも同じ乳白色の温泉が湧いている場所を見た事がある。あの時は、ただ単に湯が濁っているだけだと思って敬遠してしまったけど、何かの効能があるとするならば見直さなければいけない。蒼の剣博士に成分の分析を頼むことにしよう。
それはそうと……
「ねぇ巫女さん、凛さん。私たち情報収集が目的であちこち巡っていると思うんだけど、こんな風にのんびりしてていいのかな?」
ずっと心にあった背徳感を言葉にして表に出すことに成功した。
「そうですよ巫女さん。フレデリカさんの言う通りですよ。観光に来ているわけではないんですから、もう少し真面目にですね……」
「何言っちゃってるのかしら。凛だって温泉満喫してるじゃないのかしら。そんな力の抜けた顔で言われても説得力ないのよ」
「いえいえ。この状況下で霊長類のヒト科は、必然的に私の様な状態になるものなんですよ。なので今の状況は特別に変わっているわけじゃないんですよ。そうですよね?フレデリカさん」
「はぁぁ、そうね。こんなにも気持ちいいのだから。凛ちゃんが正しいわね」
可愛い女の子が言うことに間違いはない。