女坂探偵事務所 その2
「あぁ……懐かしい。太陽の光だ。青い空。空気が……空気はイマイチか。なんか変な匂いが混じっている」
魔界では絶対に見れない景色。
青空と太陽なんて百年前くらいに見たきりだ。
これだけでテンションが爆上がる。
バリバリバリバリ
突然空から爆音が降り注ぐ。
すごい音だ。
音のする方を仰ぐ。
「て、鉄の塊が空に……うわぁ!しかも暴風が!これって風魔法⁉︎近寄れない……風魔法に強いのって……土魔法だっけ⁉︎」
「フレデリカちゃん。そこから離れなさい。ヘリが着陸できないでしょ?」ほらほら。こっちおいで」
「水道さん!危ないですよ!私がやっつけますから下がっていてください!」
空に浮かぶ塊に右手をかざす。
このまま撃ち落としてやる!
「誰も傷つけさせはしない!一瞬でケリをつけてあげる。くらいなさい……きゃあ!」
景色が一回転した。次の瞬間地面に背中を打ちつける。
「痛たた……何するんですか……って早坂凛さん?」
この人は……たしか気配もなく私の背後をとってナイフを突きつけてきた彼女だ。
「フレデリカさん。アレは『ヘリコプター』という乗り物です。たぶんですけど、今攻撃しようとしてましたよね?今からアレに乗って移動するのですから。ダメですよ。さぁ、こっちに来てください」
手を握り引っ張られる。
引かれるままに出口の扉の方へと連行された。
何故かはわからないが、この人に逆らえる気がしない。
でも恐怖とか威圧とかじゃなく、なんと言うのか……優しいっていうか。握られている手も、優しく慈愛みたいなのを感じる。なんか懐かしい。私の家族になってくれた盾の聖騎士さんみたいな温かさだ。
ヘリコプターと呼ばれる乗り物が到着すると、手を繋いだままエスコートしてくれる様に機内に誘導してくれた。
何この子。
美少女で強くて可愛いし、長い黒髪もツヤツヤで綺麗だし。
女子の憧れの定型じゃないか。好きになっちゃうぞ。