メテオストライク その1
「ちょっと待ってよ!私の事『本物』って。どういう意味⁉︎私は普通の女の子だって言ってるじゃないですか」
「無駄なのよ。真琴さんに嘘は通じないのよ。この人は、いかなる時も、どんな時でも。あらゆる嘘を見破るのよ。だから既に手遅れなのよ。あなたは彼女と会話してしまったもの」
巫女の女の子が観察する様な仕草をして顔を近づけてくる。
つまりは、この人には隠し事が出来ないという事だ。
厄介な……
「とりあえず私の名前は水道真琴。この事務所の……そうね。所長の秘書ってとこかしら。まぁ何でもやるけど。とりあえず宜しくね。で、こっちの巫女服の子は巫女ちゃん。ちょっと、ややこしいけど名前が巫女なのよ。呪術とか悪魔とか、世間でいうオカルト系専門の能力者。あなたを呼び出したのは、この子の力。巫女さんやっているのは……あとで本人に聞いてちょうだい。で?あなたは何者?名前とかあるの?」
さっきは、私の風貌で呆れて出て行ったけど。今度は関心を持っているみたいだ。口調でわかる。
「私は……一応だけど人間。私のいた世界では……強めの力を持っていた側だけど。名前はフレデリカ」
「へぇ。人間なんだ。巫女ちゃんは悪魔の召喚術法で呼び出したって言っていたけど。でも、『強めの力』ってところで嘘ついたでしょ?ちゃんと正しく表現してちょうだいフレデリカちゃん」
この人は本当に嘘を見抜く力があるのだろうか。
それに『フレデリカちゃん』って。
「……一番強い力を持っていた。これでいいのかしら」
「よく出来ました。巫女ちゃんも上出来ね。ちゃんと『最強』を呼び出せてたわね」
「真琴さん……」
何の前振りもなく、耳元で声が聞こえた。
「きゃあ!な、なんなの今の声……うわあっ!だ、誰⁉︎いつからそこに」
すぐ左隣に黒髪の女の子が立っている。
なんだろう。この既視感。
「ありがとう凛さん。もう大丈夫よ。離れた大丈夫」
「はい。はじめまして……じゃないですね。早坂凛です。よろしくお願いします悪魔さん」
「彼女は完全に気配を消せるの。すごいでしょ?さっきフレデリカちゃんの背中をとったのは凛さんなのよ。さすが元ストーカー……いえ。なんでもないわ」
何かわからないけど、とりあえずは只者ではないのは確かだ。
「それよりも、私は何をすればいいの?私も早く帰らないといけないの。さっさと済ませてしまいましょ」
「そうね。ビジネスから仲良くなるパターンもあるしね。じゃあ仕事しながらお互い分かり合いましょうか」




