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ゴッドブレス 魔法戦車と戦少女  作者: きるきる
第一章 魔法戦車と魔法少女
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超弩級機械式魔法戦車

 朝早くのミーティングルーム。

 時刻は七時。室内は静まり返っている。たまにエアコンの唸るような駆動音が聞こえる。


 先日の新型兵器についての説明で呼び出された。

 資料には一通り目を通してある。

 いままで使っていた機械式魔法戦車を大幅改良……というか別物になっていた。

 通常の魔導砲以外にも四種の弾を撃てる様になっている。

 火炎弾と氷結弾。文字通り、着弾と同時に火炎魔法、氷結魔法が炸裂する。どちらも殺戮兵器に変わりはない。

 焼夷榴弾とスモーク弾。こちらは実弾兵器で副砲から発射。

 焼夷榴弾は着弾地点に高い燃焼効果の薬品で燃え広がる。消化は困難だそうだ。

 スモーク弾はそのままだ。着弾地点に煙幕を焚く。


 自衛能力も大幅に上がっているみたいだ。

 常時、物理障壁、魔法障壁が展開される。つまりはバリアだ。過去に二度破壊されているデータをもとに、敵の聖騎士の攻撃にも耐えられるそうだ。二度死にかけかている私的には信じられないけど。


 移動手段はキャタピラでの地上を走行だか、飛行での魔法力消費が大幅カットにより、以前より気軽に使用できるみたいだ。

 結局は私の魔法力を使われるわけなんだから、火とか氷とかバリアとか勝手に付けてくれるのは勘弁してほしい。

 搭乗者のメインパイロットの欄は空欄だけど、タンク欄には私の名前があった。まぁ、予想通りなんだけど。

 ちなみにチャームポイントの腕に関しては廃止になっている。

 

「おはようフレデリカ」


 扉が開いてホークが入ってきた。

 これで本日のミーティングメンバーが揃った。


「おはようございます」


 普通に挨拶する事が出来た。もう吹っ切れたし。動揺するこもない。大丈夫。

 好きじゃないと言ったら嘘になるけど、塞ぎ込んでいても何もプラスにならない。まぁ出来ることならホークにはちゃんと振ってほしい。でも、もう自分の中で完結できた。大丈夫。

 それに私には父と母の仇を討たないといけない。シャルを見習って私も頑張らないと。


「資料には全部目を通しました。ただ、途中六ページくらい抜けていたけど」


「あ……あぁ、抜けているページは修正が入って差し替えることになっているから気にしなくて大丈夫だよ。一応、今回二人で読み合わせする事になっているから退屈だろうけど付き合ってもらうよ」


「そうなんだ。まぁいいけど。私的には座学よりも早く実物に試乗してみたいのだけれど。さぁ、さっさと終わらせて本物をを触りにいきましょ」



 その日の午後から、新型の慣らし運転を含めた試運転がはじまった。

 とりあえず空中に浮かせてみる。

 土煙をあげながら、揺れも最小限にゆっくりと浮かび上がった。


「何これ⁉︎すっごい楽!」


 全然余裕だ。無駄にテンションがあがる。

 これなら常に空中移動でいいんじゃないかな。


 次に魔導砲のテストに入る。

 全力で砲撃。以前より反動も小さい。

 二キロ先の目標が光につつまれ消滅した。確実に威力も上がっている。この武装は加減して撃たないいけないやつだ。威力最大で撃つと関係ないものまで壊してしまう。


 それにしても……


「これ大きすぎない⁉︎」


 ぱっと見でも前の車両の倍はある。

 資料からスペックのページを確認する。

 三十三メートルの表記。

 これもう戦車じゃない気がする。

 重さが二百トンくらいあるらしい。

 これって物理障壁張って突撃するだけでも……想像するだけでも恐ろしい。

 

 とにかく魔法の疲労がほとんどないのはすごいと思う。

 味方とはいえ、こんなものを開発してしまう私の国の軍も恐ろしい。

 

「フレデリカ。魔法の消耗は大丈夫か?もう一時間近くフル稼働させてるけど」


「全然平気よ。すごいわね。どんな技術が使われているのかしら。ホークは知ってるんでしょ?」


 問いかけに反応がない。

 

「……ホーク?どうしたの?」


「いや……すまない。また君を、こんなものに乗せるようになってしまって。できたら普通の生活にもどしてあげたいのだけれど……」


「いいの。私は家族の仇打ちをするって決めたの。その為には、この子とあなたの力が必要だもの」


「ありがとう……フレデリカ」


「なんであなたがそんな顔するのよ。あの夜からいろいろあったけど、もう大丈夫。私は強いのよ。嫌じゃなかったら、また私のご飯食べにきて」


「ありがとう。本当に……すまない」


「じゃあ、ちゃっちゃとメニューこなして帰りましょ」


 それから二時間ほどで終了。

 ホークは試運転の報告があるとかで本部に走って行った。

 私はどうしよう。

 そろそろシャルが任務を終えて帰ってくるかなぁ。

 新しい戦車の話とか、ホークとの関係が修復できた事とか早く話したい。うまくいったのはシャルが励ましてくれたおかげだ。


 明日は非番だし、お菓子でも作ろうかな。上手くできたら、ホークとシャルに持っていってあげよう。

 二人にプレゼントするお菓子の事を考えながら、軽くなった足取りで自分の部屋へと走り始めた。


 


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